大動脈炎症候群

概要

大動脈炎症候群は主に若年女性に発症する原因不明の大動脈およびその主な分枝の炎症性疾患である。血管の狭窄や閉塞、瘤形成をきたし、虚血症状や血圧異常を呈することが多い。日本では高安動脈炎とも呼ばれる。

要点

  • 大動脈および主分枝の炎症による血管狭窄・閉塞を特徴とする
  • 若年女性に好発し、虚血症状や高血圧を呈する
  • 早期診断と免疫抑制療法が重要

病態・原因

自己免疫機序が関与し、大動脈やその主分枝の血管壁に炎症が生じることで、血管狭窄、閉塞、瘤形成が進行する。発症には遺伝的素因や環境因子が関与すると考えられているが、明確な原因は不明である。

主症状・身体所見

四肢の脈拍減弱や消失、血圧左右差、上肢・下肢の冷感や間欠性跛行、めまい、頭痛などがみられる。発熱や全身倦怠感などの全身症状を伴うこともある。

検査・診断

検査所見補足
血液検査炎症反応(CRP↑、赤沈↑)非特異的だが活動性の指標
画像検査大動脈・主分枝の狭窄・拡張CT/MRI/血管造影で評価
超音波検査血管壁肥厚、狭窄頸動脈・腎動脈などで有用

診断は臨床症状と画像所見(血管狭窄、拡張、瘤形成など)を組み合わせて行う。2012年のACR/EULAR分類基準などが用いられる。早期病変はPET-CTでの炎症集積が参考となる。

治療

  • 第一選択:副腎皮質ステロイド全身投与
  • 補助療法:免疫抑制薬(メトトレキサート等)、抗血小板薬
  • 注意点:感染症リスク、再燃・再発の早期発見

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
巨細胞性動脈炎高齢者、側頭動脈の圧痛側頭動脈生検で巨細胞性変化
閉塞性動脈硬化症動脈硬化リスク、下肢優位動脈硬化像、炎症所見なし
Marfan症候群骨格異常、家族歴、瘤形成FBN1遺伝子異常

補足事項

本症は再燃例も多く、長期の経過観察が必要である。血管内治療や外科的血行再建術が適応となる場合もある。小児例や高齢発症例も増加傾向にある。

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