尿管腟瘻
概要
尿管腟瘻は尿管と腟の間に異常な交通路が形成される疾患で、主に婦人科手術後の合併症として発生する。持続的な腟からの尿漏れが特徴で、診断と治療には専門的な対応が必要となる。早期発見と適切な外科的治療が予後を左右する。
要点
- 主に婦人科手術後に発生する尿路合併症
- 腟からの持続的な尿漏れが主要症状
- 画像診断と外科的修復が治療の中心
病態・原因
尿管腟瘻は、子宮摘出術や骨盤内手術など婦人科的処置により尿管が損傷され、腟との間に瘻孔が形成されることで発症する。放射線治療や悪性腫瘍の浸潤、分娩外傷なども原因となることがある。
主症状・身体所見
腟からの持続的な尿漏れが典型的な症状であり、排尿時以外にも尿が漏れる。局所の炎症や皮膚のただれ、繰り返す膣炎や尿路感染症もみられることがある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 腟内色素試験 | 腟内への色素注入で尿路からの漏出を確認 | メチレンブルーなど |
| 逆行性腎盂造影 | 瘻孔部で造影剤の腟内漏出を認める | 片側性の尿管描出 |
| CT尿路造影 | 尿管と腟の異常交通を描出 | 解剖学的位置関係把握 |
診断は主に腟内色素試験や逆行性腎盂造影、CT尿路造影など画像検査で瘻孔の存在と部位を確認する。瘻孔の大きさや位置により治療方針が変わる。
治療
- 第一選択:外科的修復術(瘻孔閉鎖術や尿管再建)
- 補助療法:尿路ドレナージ、抗菌薬投与、局所ケア
- 注意点:術後の再発や尿路感染症の予防、十分な術前評価
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 膀胱腟瘻 | 排尿時以外にも腟から尿漏れ | 膀胱造影で膀胱から腟への漏出 |
| 直腸腟瘻 | 腟からの便漏れやガス排出 | 造影で直腸から腟への交通確認 |
補足事項
瘻孔形成から時間が経過すると周囲組織の線維化が進み、手術難易度が上がるため、早期介入が望ましい。婦人科手術時の尿管損傷予防策が重要である。