多系統萎縮症
概要
多系統萎縮症(MSA)は、運動失調、パーキンソニズム、自律神経障害など多様な神経症状を呈する進行性神経変性疾患。中年以降に発症し、オリゴデンドログリアのα-シヌクレイン蓄積(グリア細胞封入体)が特徴。小脳型(MSA-C)とパーキンソン型(MSA-P)に分類される。
要点
- 運動失調やパーキンソニズム、自律神経障害を呈する進行性疾患
- オリゴデンドログリアのα-シヌクレイン蓄積が病理学的特徴
- 小脳優位型(MSA-C)とパーキンソン型(MSA-P)が存在する
病態・原因
中枢神経系のオリゴデンドログリアに異常なα-シヌクレインが蓄積し、神経細胞の機能障害と脱落をきたす。発症機序は不明だが、遺伝的要因は少なく、多くは孤発例。環境因子や加齢もリスクとされる。
主症状・身体所見
小脳性運動失調、筋強剛、振戦、起立性低血圧、排尿障害など多彩な症状がみられる。早期から顕著な自律神経障害(排尿障害、低血圧、発汗異常)が特徴的で、パーキンソン病との鑑別点となる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 頭部MRI | 小脳・橋の萎縮、ホットクロスバン徴候 | MSA-Cで特に有用 |
| 起立試験 | 起立性低血圧 | 自律神経障害の評価 |
| 神経伝導検査 | 正常または軽度異常 | 末梢神経障害は軽度 |
診断は臨床症状と画像所見(小脳・橋萎縮、ホットクロスバン徴候)が中心。パーキンソン病との鑑別に自律神経障害やMRI所見が有用。確定診断は病理組織検査によるが、生前診断は困難。
治療
- 第一選択:対症療法(ドパミン作動薬、抗コリン薬、降圧薬など)
- 補助療法:リハビリテーション、排尿管理、栄養管理
- 注意点:進行性で根本治療はなく、合併症(誤嚥・肺炎)予防が重要
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| Parkinson病 | 自律神経障害が軽度、L-dopa反応性良好 | MRIで小脳・橋萎縮なし |
| 進行性核上性麻痺 | 垂直性眼球運動障害が顕著 | 中脳萎縮(ハチドリサイン) |
補足事項
MSAの進行は速く、車椅子生活や寝たきりになるまでの期間が短い。新規治療薬の開発が進められているが、現時点では根本治療法はない。