歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症
概要
歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(DRPLA)は、常染色体優性遺伝形式をとる神経変性疾患で、CAGリピートの異常伸長が原因となる。小脳失調、舞踏運動、精神症状、てんかん発作など多彩な症状を呈する。主に日本を中心に報告例が多い遺伝性疾患である。
要点
- CAGリピート異常伸長による常染色体優性遺伝性神経変性疾患
- 小脳失調、舞踏運動、精神症状、てんかんなど多彩な症状
- MRIで小脳・脳幹・基底核の萎縮が特徴的
病態・原因
DRPLAはATN1遺伝子のCAGリピート異常伸長によって生じ、異常なポリグルタミンタンパク質が神経細胞に蓄積し細胞障害を引き起こす。常染色体優性遺伝で、発症年齢や症状はリピート数に依存する。
主症状・身体所見
小脳失調による歩行障害、舞踏運動やミオクローヌス、てんかん発作、認知機能障害や精神症状(幻覚・妄想)がみられる。若年発症例ではてんかんや精神症状が目立ち、成人発症例では小脳失調や舞踏運動が主体となる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| MRI | 小脳・脳幹・基底核(特に歯状核・赤核・淡蒼球・ルイ体)の萎縮 | 診断の決め手となる画像所見 |
| 遺伝子検査 | ATN1遺伝子CAGリピート伸長 | 確定診断には遺伝子検査が必須 |
| 脳波 | 徐波、棘波、てんかん性異常 | てんかん発作の評価 |
MRIでは特徴的な小脳・脳幹・基底核の萎縮がみられ、特に歯状核・赤核・淡蒼球・ルイ体の萎縮が診断的意義を持つ。遺伝子検査によるCAGリピート数の確認が確定診断となる。
治療
- 対症療法:てんかん発作に抗てんかん薬、精神症状に抗精神病薬
- リハビリテーション:歩行・嚥下訓練など
- 遺伝カウンセリング:家族への説明・サポート
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| Huntington病 | 精神症状・舞踏運動がより顕著、家族歴 | HTT遺伝子異常 |
| SCA-3(Machado-Joseph病) | 眼球運動障害、錐体外路症状が強い | ATXN3遺伝子CAGリピート伸長 |
| 多系統萎縮症 | 自律神経症状・パーキンソニズムが主体 | MRIでオリーブ橋小脳萎縮など |
補足事項
発症年齢が若いほど症状が重篤化しやすく、親からのリピート数増加(anticipation)も特徴。治療は根本的治療法がなく、進行抑制や症状緩和が中心となる。