多形滲出性紅斑
概要
多形滲出性紅斑は、標的状(ターゲット状)紅斑や水疱、びらんを特徴とする急性皮膚疾患である。主にウイルス感染や薬剤などが誘因となり、四肢伸側を中心に多彩な皮疹が出現する。重症例では粘膜病変を伴うことがあり、Stevens-Johnson症候群との鑑別が重要となる。
要点
- 標的状紅斑や水疱を主徴とする急性皮膚疾患
- ウイルス感染(特に単純ヘルペスウイルス)や薬剤が主な原因
- 重症例では粘膜病変や全身症状を伴いうる
病態・原因
多形滲出性紅斑は細胞性免疫反応が関与するⅣ型アレルギー反応で、主に単純ヘルペスウイルス感染やマイコプラズマ感染、薬剤(抗菌薬、NSAIDsなど)が誘因となる。免疫複合体の沈着やサイトカインの産生が皮膚・粘膜の障害を引き起こす。
主症状・身体所見
四肢伸側や手背、足背に好発する標的状紅斑(中央が紫紅色、周囲が淡紅色の輪を持つ)が特徴的で、水疱やびらんもみられる。発熱や倦怠感などの全身症状、重症例では口腔・眼・外陰部などの粘膜病変が出現する。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 皮膚生検 | 表皮壊死、基底膜部の水疱 | 標的状紅斑の辺縁部で有用 |
| 血液検査 | 炎症反応(CRP上昇など) | 重症例では肝腎機能障害も確認 |
| ウイルス検査 | HSV抗体価上昇 | 単純ヘルペスウイルス感染の関与評価 |
皮膚所見が典型的な場合は臨床診断が主体となるが、鑑別困難な場合は皮膚生検が有用。粘膜病変や全身症状の有無により重症度を評価し、Stevens-Johnson症候群や中毒性表皮壊死症との鑑別も重要。
治療
- 第一選択:原因薬剤の中止、支持療法(安静・保湿・鎮痛)
- 補助療法:抗ウイルス薬(HSV関連例)、抗ヒスタミン薬、重症例では短期間のステロイド全身投与
- 注意点:重症例や粘膜障害例では入院管理、二次感染予防が重要
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| Stevens-Johnson症候群 | 粘膜病変が高度、全身症状が強い | 広範な表皮剥離、重度炎症反応 |
| 蕁麻疹 | 一過性膨疹、標的状紅斑は稀 | 皮膚生検で真皮浮腫が主体 |
| 結節性紅斑 | 皮下結節、下腿伸側に好発 | 皮膚生検で脂肪織炎が主体 |
補足事項
再発例ではHSVの再活性化が多く、予防的抗ウイルス薬投与が有効な場合がある。Stevens-Johnson症候群や中毒性表皮壊死症との重症度分類・治療方針の違いに注意する。