呼吸性アシドーシス
概要
呼吸性アシドーシスは、肺での二酸化炭素(CO₂)排出障害により血中CO₂が蓄積し、血液が酸性に傾く酸塩基平衡異常である。慢性呼吸不全や急性呼吸障害により発症し、基礎疾患の管理が重要となる。重症例では意識障害や循環動態の悪化をきたすことがある。
要点
- 二酸化炭素の排出障害による血中CO₂上昇とアシドーシス
- 慢性閉塞性肺疾患や中枢性呼吸抑制が主な原因
- 急性・慢性で臨床対応や重症度が異なる
病態・原因
呼吸性アシドーシスは、肺胞換気の低下により二酸化炭素が体内に蓄積し、動脈血中のpCO₂上昇(高炭酸ガス血症)をきたす。慢性閉塞性肺疾患(COPD)、重症喘息、中枢性呼吸抑制(薬剤・脳病変)、神経筋疾患、胸郭変形などが主なリスク因子である。
主症状・身体所見
軽症では無症状のこともあるが、頭痛、傾眠、錯乱、意識障害、筋力低下など中枢神経症状が出現しやすい。重症例では呼吸困難、チアノーゼ、血圧低下、不整脈などを伴うことがある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 動脈血ガス分析 | pH低下、pCO₂上昇 | HCO₃⁻は慢性例で上昇 |
| 血清電解質 | 代償性HCO₃⁻増加 | 慢性例で代償反応を反映 |
| 胸部X線/CT | 原因疾患の所見 | 肺疾患や胸郭異常の評価 |
動脈血ガス分析でpCO₂>45mmHgかつpH<7.35で診断する。慢性例では腎性代償によりHCO₃⁻が上昇する。基礎疾患の画像診断も重要である。
治療
- 第一選択:原因疾患の治療(気道管理、換気補助、基礎疾患治療)
- 補助療法:酸素投与、非侵襲的陽圧換気(NPPV)、呼吸リハビリテーション
- 注意点:急激なCO₂低下は脳血管収縮を招くため慎重に管理
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 代謝性アシドーシス | アニオンギャップ増加、Kussmaul呼吸 | pCO₂低下、HCO₃⁻低下 |
| 呼吸性アルカローシス | 過換気、神経過敏症状 | pCO₂低下、pH上昇 |
補足事項
慢性例では腎による代償が進行し、急性増悪時に重篤なアシドーシスとなりやすい。CO₂ナルコーシスや酸素投与時の呼吸抑制にも注意が必要である。