先天性サイトメガロウイルス感染症
概要
先天性サイトメガロウイルス感染症は、胎内感染により新生児に発症するウイルス感染症である。無症候例が多いが、一部で難聴や精神発達遅滞などの後遺症を残す。母体の初感染が主なリスクであり、周産期診療で重要な疾患である。
要点
- 胎内感染による新生児のウイルス感染症
- 無症候例が多いが、重篤な後遺症を残すことがある
- 妊娠中の母体初感染が主なリスク因子
病態・原因
サイトメガロウイルス(CMV)はヒトヘルペスウイルス5型で、母体から胎児への経胎盤感染により発症する。特に母体の初感染時に胎児への感染リスクが高く、胎児の発達中枢神経系などに障害を与える。
主症状・身体所見
多くは無症候性だが、症候性の場合は低出生体重、肝脾腫、黄疸、紫斑、脳室拡大、難聴、精神運動発達遅滞などを認める。新生児期には血小板減少や肝機能障害もみられる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| ウイルス分離・PCR | 尿や唾液からCMV検出 | 生後3週以内の検体が有用 |
| 血液検査 | 血小板減少、肝酵素上昇、貧血 | 新生児の症候性例でみられる |
| 画像検査 | 頭部超音波・MRIで脳室拡大、石灰化 | 神経学的後遺症の予測に有用 |
診断は生後3週以内に尿や唾液からCMV遺伝子をPCRで検出することで確定する。画像検査で脳室拡大や頭蓋内石灰化を認めることが多い。
治療
- 第一選択:ガンシクロビルまたはバルガンシクロビル静注・内服
- 補助療法:対症療法(輸血、肝保護、栄養管理など)
- 注意点:早期治療開始が後遺症予防に重要、聴覚障害の長期フォロー必要
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 先天性風疹症候群 | 白内障・心疾患・難聴の3徴 | 風疹ウイルス抗体陽性 |
| 新生児肝炎 | 黄疸・肝腫大が主体 | ウイルス検査でCMV陰性 |
| TORCH症候群 | 複数病原体による症候群 | 各種病原体の検査で鑑別 |
補足事項
CMVワクチンは実用化されていないため、妊婦の感染予防が重要である。難聴の発症は遅れて現れることも多く、長期的な聴覚スクリーニングが推奨される。