TORCH症候群
概要
TORCH症候群は、胎内感染により新生児や乳児に多彩な先天異常や障害を引き起こす疾患群である。主にトキソプラズマ、風疹ウイルス、サイトメガロウイルス、単純ヘルペスウイルスなどが原因となる。感染時期や病原体により症状や重症度が異なる。
要点
- 胎内感染による多臓器障害を呈する先天症候群
- 原因病原体はToxoplasma・Rubella・CMV・HSVなど
- 神経障害・難聴・白内障・肝脾腫など多彩な症状
病態・原因
TORCH症候群は、妊娠中に母体がToxoplasma gondii、Rubellaウイルス、Cytomegalovirus、単純ヘルペスウイルス(Herpes simplex virus)などに感染することで、胎児に垂直感染し発症する。感染時期が早いほど重篤な先天異常を起こしやすい。
主症状・身体所見
小頭症、水頭症、脳内石灰化、難聴、白内障、肝脾腫、黄疸、紫斑、心奇形、発育障害などがみられる。神経系・感覚器・肝臓・皮膚など多臓器にわたる症状が特徴的である。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血清学的検査 | 特異的IgM抗体や病原体DNA/RNA検出 | 母児ペア血清で比較することも |
| 画像検査(頭部CT/MRI) | 脳内石灰化、水頭症、小頭症、脳奇形 | 神経学的合併症の評価に有用 |
| 眼科・聴力検査 | 白内障、網膜炎、難聴などの感覚器異常 | 早期発見・介入に重要 |
診断は母児の血清学的検査や病原体遺伝子検出、臨床症状の組み合わせで行う。画像検査は神経障害の評価に不可欠である。
治療
- 原因病原体ごとの抗菌・抗ウイルス薬投与
- 支持療法(輸液、栄養管理、対症療法など)
- 合併症への専門的治療(難聴・視覚障害・発達支援)
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 先天性サイトメガロウイルス感染症 | 難聴・小頭症・脳内石灰化が顕著 | CMV特異的抗体・DNA陽性 |
| 先天性風疹症候群 | 白内障・心奇形・難聴の3徴が特徴 | Rubella IgM・PCR陽性 |
| 先天性トキソプラズマ症 | 網脈絡膜炎・脳内石灰化・水頭症 | Toxoplasma抗体・PCR陽性 |
補足事項
TORCHは他に梅毒やパルボウイルスB19なども含むことがある。妊娠時の母体スクリーニングとワクチン接種が予防に重要である。