金属熱
概要
金属熱は、主に亜鉛や銅などの金属蒸気を吸入することで発症する急性の中毒性疾患である。溶接や鋳造などの作業現場で発生しやすく、発熱やインフルエンザ様症状が特徴となる。多くは一過性で予後良好だが、作業環境の改善が重要である。
要点
- 金属蒸気の吸入による急性中毒症状
- 発熱・悪寒・筋肉痛などインフルエンザ様症状
- 作業環境の管理と再暴露防止が重要
病態・原因
金属熱は、溶接や鋳造などで発生する金属(特に亜鉛、銅、マグネシウム、アルミニウム等)の酸化物蒸気を吸入することで生じる。吸入後数時間で発症し、免疫反応や炎症性サイトカインの放出が関与すると考えられる。
主症状・身体所見
主な症状は、発熱、悪寒、筋肉痛、咳嗽、頭痛、全身倦怠感などで、インフルエンザ様症状を呈する。多くは暴露後3〜10時間で発症し、通常24〜48時間で自然軽快する。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血液検査 | 白血球増加、CRP軽度上昇 | 非特異的炎症反応 |
| 胸部X線 | 多くは異常なし | 重症例で軽度の肺炎像 |
臨床診断が基本であり、金属蒸気への暴露歴が診断の決め手となる。症状や経過、作業歴の聴取が重要である。
治療
- 第一選択:安静・対症療法(解熱鎮痛薬、輸液など)
- 補助療法:酸素投与、必要に応じて気道管理
- 注意点:再暴露の回避、作業環境の改善
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| インフルエンザ | 季節性流行・接触歴・ウイルス迅速検査 | 抗原検査陽性 |
| 一酸化炭素中毒 | 頭痛・めまい・意識障害・暴露歴 | COHb上昇・動脈血液ガス分析 |
補足事項
金属熱は再暴露により症状が増悪・再発しやすい。労働衛生管理や個人防護具の着用が予防に不可欠である。慢性化や重篤な後遺症は稀。