ラッサ熱
概要
ラッサ熱はアレナウイルス科ウイルスによるウイルス性出血熱で、西アフリカを中心に流行する。げっ歯類が自然宿主であり、ヒトへの感染は主に排泄物との接触やエアロゾル吸入による。致死率が高く、感染拡大防止が重要となる。
要点
- アレナウイルスによるウイルス性出血熱
- ヒトからヒトへの院内感染例も報告
- 致死率が高く早期診断・隔離が必須
病態・原因
ラッサウイルスは主にマストミス属のネズミが保有し、尿や糞便を介してヒトに感染する。ヒトからヒトへの感染も体液や血液曝露により成立し、特に医療従事者の院内感染リスクが高い。感染後ウイルスは全身に播種し、臓器障害や出血傾向を引き起こす。
主症状・身体所見
発熱、筋肉痛、咽頭痛、頭痛などの非特異的症状で発症し、重症例では出血傾向、嘔吐、下痢、腹痛、黄疸、意識障害など多臓器不全に至る。難聴や神経症状も後遺症として残ることがある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血液検査 | 白血球減少、血小板減少、肝酵素上昇 | 汎血球減少やDIC所見も |
| PCR | ラッサウイルス遺伝子検出 | 迅速かつ特異的 |
| 抗体検査 | IgM/IgG上昇 | 急性期・回復期ペア血清で有用 |
ウイルス遺伝子検出(PCR)が確定診断に有用。血液・体液からのウイルス分離も可能だが高度なバイオセーフティが必要。画像診断は特異的所見に乏しい。
治療
- 第一選択:リバビリン(早期投与が有効)
- 補助療法:輸液管理、電解質補正、対症療法
- 注意点:厳格な感染管理と隔離、曝露後予防も重要
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| エボラ出血熱 | より激烈な出血傾向と致死率 | PCRでウイルス鑑別 |
| デング熱 | 発疹や筋肉痛が強い、出血は軽度 | 血清抗体・PCRで鑑別 |
| 腎症候性出血熱 | 腎障害が前景、アジアで多い | 血清学的検査で鑑別 |
補足事項
ラッサ熱は日本国内では輸入感染症として指定されており、疑い例は直ちに保健所と連携し対応する。ワクチンは未開発であり、曝露予防と早期診断・治療が最重要となる。