デング熱
概要
デング熱はデングウイルスによる蚊媒介性感染症で、熱帯・亜熱帯地域を中心に流行する。急性の発熱、頭痛、筋肉痛、発疹などを特徴とし、重症化するとデング出血熱やショックを呈する。輸入感染症として日本でも散発例が報告されている。
要点
- 蚊(主にネッタイシマカ)によるウイルス伝播
- 発熱・筋肉痛・発疹などの急性症状
- 重症例では出血傾向やショックを呈する
病態・原因
デング熱はデングウイルス(フラビウイルス属)による感染症で、主にネッタイシマカやヒトスジシマカが媒介する。感染後、ウイルスは全身の血管内皮細胞などに感染し、免疫応答やサイトカイン放出が重症化の一因となる。
主症状・身体所見
突然の高熱、頭痛、眼窩後痛、筋肉痛、関節痛、発疹が典型的である。消化器症状(悪心、嘔吐)や皮下出血斑、歯肉出血などの出血傾向を伴うこともある。重症例ではショックや多臓器障害に至る。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血液検査 | 白血球減少、血小板減少、肝酵素上昇 | 出血傾向の評価も重要 |
| デングウイルス抗原・抗体 | NS1抗原迅速検査、IgM/IgG抗体検出 | 急性期・回復期で使い分け |
| PCR | デングウイルス遺伝子検出 | 特異度・感度が高い |
臨床症状と流行地への渡航歴が診断の手がかりとなる。NS1抗原やPCRは発症早期、抗体検査は発症数日後以降で有用。重症例では血液凝固異常や臓器障害の評価も必要。
治療
- 第一選択:対症療法(解熱・輸液管理)
- 補助療法:必要に応じて血小板輸血やショック管理
- 注意点:アスピリン・NSAIDsは出血傾向増悪のため禁忌
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| マラリア | 間欠的発熱・貧血・脾腫 | 血液塗抹で原虫検出 |
| エボラ出血熱 | 高熱・激しい出血傾向・多臓器不全 | PCRでエボラウイルス検出 |
| ウイルス性肝炎 | 黄疸・肝腫大・肝酵素著明上昇 | ウイルスマーカー陽性 |
補足事項
デングウイルスには4つの血清型があり、異なる型への再感染で重症化リスクが高まる。ワクチンは一部流行国で使用されているが、現時点で日本では承認されていない。