マイコプラズマ肺炎
概要
マイコプラズマ肺炎はMycoplasma pneumoniaeを原因とする非定型肺炎の一種で、主に小児や若年成人に多い。発熱や咳嗽などの呼吸器症状を呈し、しばしば集団発生することが特徴である。一般的な細菌性肺炎と異なり、抗菌薬の選択に注意を要する。
要点
- 非定型肺炎の代表で、学校や家庭内での集団発生が多い
- 頑固な咳、発熱、咽頭痛などが主症状で、重症化は稀
- β-ラクタム系抗菌薬は無効で、マクロライド系などが有効
病態・原因
Mycoplasma pneumoniaeは細胞壁を持たないグラム陰性の微生物であり、接触や飛沫感染で伝播する。気道上皮への付着と局所炎症反応が中心で、自己免疫的な反応も関与することがある。
主症状・身体所見
発熱、乾性咳嗽、咽頭痛が典型的で、頭痛や全身倦怠感などの全身症状もみられる。聴診ではラ音が乏しいことが多く、胸部所見と画像所見が解離することがある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 胸部X線 | 斑状または網状の浸潤影 | 下葉優位、しばしば両側性 |
| 血清抗体価 | 抗マイコプラズマ抗体上昇 | ペア血清で4倍以上の上昇 |
| PCR検査 | M. pneumoniae遺伝子検出 | 咽頭ぬぐい液などから迅速診断 |
胸部X線では臨床症状に比して浸潤影が軽度であることが多い。確定診断には抗体価の上昇やPCRによる病原体検出が有用である。
治療
- 第一選択:マクロライド系抗菌薬(クラリスロマイシン、アジスロマイシンなど)
- 補助療法:解熱鎮痛薬、十分な水分補給、安静
- 注意点:マクロライド耐性例ではテトラサイクリン系やニューキノロン系抗菌薬を考慮
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 肺炎球菌性肺炎 | 急激な発症、高熱、膿性痰 | X線で葉区域性浸潤影、グラム染色陽性 |
| クラミジア肺炎 | 比較的軽症、嗄声あり | 抗クラミジア抗体陽性、PCRで検出 |
| ウイルス性肺炎 | 鼻汁や咽頭痛が先行 | ウイルス抗原検査、X線でびまん性陰影 |
補足事項
マイコプラズマ肺炎は小児・若年成人で多いが、成人や高齢者でも発症する。マクロライド耐性株の増加が近年問題となっているため、治療反応性に注意が必要である。