ステロイド糖尿病
概要
ステロイド糖尿病は、糖質コルチコイド(ステロイド)製剤の投与により発症する二次性糖尿病である。基礎疾患の治療過程で発症しやすく、特に高用量・長期投与時にリスクが高い。血糖コントロール不良により合併症のリスクが増大する。
要点
- 糖質コルチコイド投与が主因の二次性糖尿病
- 空腹時より食後高血糖が目立つ
- ステロイド減量・中止で改善することが多い
病態・原因
糖質コルチコイドは肝臓での糖新生促進、末梢組織でのインスリン抵抗性増大、膵β細胞機能障害を引き起こす。これにより血糖値が上昇し、特に食後高血糖が顕著となる。ステロイドの用量・期間・個人の糖尿病素因がリスク因子となる。
主症状・身体所見
多尿・口渇・体重減少など典型的な高血糖症状がみられるが、軽症例では無症状のことも多い。感染症や創傷治癒遅延などで発見されることもある。重症化すると糖尿病性ケトアシドーシスや高浸透圧高血糖症候群を呈する場合がある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 空腹時・随時血糖 | 基準値超過、特に食後高血糖が顕著 | ステロイド投与中の経時的変化が重要 |
| HbA1c | 軽度〜中等度上昇 | 急性発症例では反映が遅れることも |
| 75g経口糖負荷試験 | 食後2時間血糖の高値 | 診断補助として有用 |
糖尿病型(空腹時血糖≧126mg/dL、随時血糖≧200mg/dL、HbA1c≧6.5%など)の基準を満たすかで診断する。ステロイド投与歴と血糖値上昇の時間的関連、食後高血糖の優位性が特徴的。画像所見は原則不要。
治療
- 第一選択:食事・運動療法、必要に応じて経口血糖降下薬やインスリン
- 補助療法:基礎疾患の治療調整、血糖自己測定
- 注意点:ステロイド減量・中止で改善することが多く、低血糖に注意
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 2型糖尿病 | ステロイド投与歴の有無 | 投与歴・発症時期 |
| Cushing症候群 | 満月様顔貌・中心性肥満などの随伴症状 | 副腎皮質ホルモン異常 |
| 妊娠糖尿病 | 妊娠期間中の発症 | 妊娠歴・分娩後の経過 |
補足事項
ステロイド糖尿病は可逆性があり、基礎疾患治療とのバランスを考慮した管理が重要となる。新規糖尿病薬(SGLT2阻害薬など)は脱水やケトアシドーシスのリスクに注意が必要。