寒冷凝集素症
概要
寒冷凝集素症は、寒冷曝露により自己抗体(寒冷凝集素)が赤血球に結合し、主に末梢で溶血を引き起こす自己免疫性溶血性貧血の一型である。しばしば基礎疾患や感染症に続発し、高齢者に多い。
要点
- 寒冷曝露により溶血性貧血を生じる
- 二次性(続発性)が多く、基礎疾患の検索が重要
- 末梢循環障害(レイノー現象、チアノーゼ)を伴うことがある
病態・原因
寒冷凝集素症はIgM型自己抗体(寒冷凝集素)が寒冷環境下で赤血球膜上の抗原と結合し、補体活性化を介して溶血を生じる。原発性と二次性があり、二次性は感染症(マイコプラズマ、EBウイルスなど)やリンパ系腫瘍に合併する。
主症状・身体所見
寒冷曝露後に貧血症状(易疲労感、息切れ、動悸)や黄疸、血色素尿がみられる。末梢循環障害としてレイノー現象やチアノーゼ、紫斑も特徴的である。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 直接クームス試験 | 補体(C3d)陽性、IgG陰性 | IgM抗体は検出困難なことが多い |
| 寒冷凝集素価 | 高値 | 血清を寒冷下で測定 |
| 血算・末梢血塗抹 | 溶血性貧血像(網赤血球増多など) | 赤血球凝集像も参考 |
診断は溶血性貧血所見とともに、直接クームス試験で補体陽性、寒冷凝集素価の上昇を認めることで行う。基礎疾患の有無を鑑別するため、感染症やリンパ腫の検索も重要。
治療
- 第一選択:寒冷曝露の回避、保温
- 補助療法:基礎疾患の治療、対症的輸血、免疫抑制薬(重症例)
- 注意点:寒冷環境下での生活指導、溶血増悪因子の回避
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 温式自己免疫性溶血性貧血 | 発熱時や常温で溶血、IgG抗体 | 直接クームス試験でIgG陽性 |
| クリオグロブリン血症 | 皮膚症状や腎障害、寒冷で血清粘稠度↑ | クリオグロブリン検出、溶血は稀 |
| 発作性夜間ヘモグロビン尿症 | 補体感受性↑による溶血、夜間血色素尿 | フローサイトメトリーで診断 |
補足事項
原発性は高齢発症が多く、二次性はマイコプラズマ感染や悪性リンパ腫などの背景を伴う。治療抵抗例ではリツキシマブ投与も考慮される。