Sheehan症候群

概要

Sheehan症候群は、分娩時や産褥期の大量出血による下垂体前葉の虚血性壊死が原因で発症する下垂体機能低下症である。主に産後女性にみられ、ホルモン分泌障害により多彩な症状を呈する。早期診断とホルモン補充療法が重要となる。

要点

  • 産褥期の大量出血が主な原因
  • 下垂体前葉ホルモンの多彩な欠乏症状
  • 早期のホルモン補充療法が予後を左右する

病態・原因

分娩時や産褥期の大量出血により下垂体前葉への血流が障害され、虚血性壊死が生じる。これにより下垂体前葉ホルモン(ACTH、TSH、LH、FSH、GH、PRLなど)の分泌が低下する。特に分娩時のショックや低血圧がリスク因子となる。

主症状・身体所見

産後の無月経、乳汁分泌不全、易疲労感、脱毛、低血圧、低血糖、体重減少などがみられる。下垂体前葉ホルモンの欠乏に起因する多彩な症状が特徴である。

検査・診断

検査所見補足
血中下垂体前葉ホルモン低値ACTH, TSH, LH, FSH, GH, PRLなどの測定
頭部MRI下垂体の萎縮または空胞虚血性変化や下垂体萎縮の確認
負荷試験ホルモン反応の低下各種ホルモン刺激試験で反応鈍麻

ホルモン測定と負荷試験で汎下垂体機能低下症を確認し、頭部MRIで下垂体萎縮や空胞を認めることで診断する。産褥期大量出血の既往が診断の手がかりとなる。

治療

  • 第一選択:副腎皮質ホルモン・甲状腺ホルモンなどのホルモン補充療法
  • 補助療法:必要に応じ性腺ホルモンや成長ホルモン補充、栄養管理
  • 注意点:ストレス時は副腎皮質ホルモン増量、感染や低血糖の早期発見

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
下垂体前葉ホルモン単独欠損症単一ホルモン欠損のみ他ホルモンは正常
リンパ球性下垂体前葉炎自己免疫関連、産褥期にも発症MRIで腫大像、自己抗体陽性

補足事項

近年は分娩管理の向上で発症頻度は減少傾向。ホルモン補充は生涯必要となる場合が多く、患者教育も重要である。

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