Peutz-Jeghers症候群
概要
Peutz-Jeghers症候群は常染色体優性遺伝形式をとる遺伝性疾患であり、消化管に多数の過誤腫性ポリープを形成し、口唇や皮膚に色素沈着を認めることが特徴である。消化管以外の悪性腫瘍リスクも増加する。
要点
- 常染色体優性遺伝でSTK11/LKB1遺伝子変異が主因
- 消化管ポリープと口唇・皮膚の色素沈着が特徴
- 消化管癌・膵癌など多臓器癌のリスク増大
病態・原因
STK11/LKB1遺伝子の変異により、細胞増殖抑制機構が障害されることで消化管を中心に過誤腫性ポリープが多発する。常染色体優性遺伝で家族歴が重要なリスク因子となる。
主症状・身体所見
幼少期より口唇、口腔粘膜、手足などに斑状の色素沈着を認める。消化管ポリープによる腹痛、腸重積、消化管出血、貧血などがみられる。無症状の場合もある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 内視鏡検査 | 消化管に多発する過誤腫性ポリープ | 小腸・大腸を中心に認める |
| 皮膚所見 | 口唇・口腔粘膜・手足の色素斑 | 幼児期から明瞭に出現 |
| 遺伝子検査 | STK11/LKB1遺伝子変異の同定 | 家族歴や臨床所見で疑う場合に実施 |
診断は臨床症状(色素沈着、ポリープ)と家族歴、遺伝子解析を組み合わせて行う。画像診断では消化管造影やカプセル内視鏡も有用。
治療
- 第一選択:症状に応じたポリープ切除(内視鏡的または外科的)
- 補助療法:定期的な内視鏡検査・腫瘍スクリーニング
- 注意点:悪性腫瘍の発症リスク管理と家族への遺伝カウンセリング
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 家族性腺腫性ポリポーシス | 腺腫性ポリープ・大腸癌リスク極めて高い | APC遺伝子変異・色素沈着なし |
| Cronkhite-Canada症候群 | 色素沈着+下痢・蛋白漏出性腸症 | 非遺伝性・爪萎縮・脱毛など全身症状 |
補足事項
消化管だけでなく膵臓、乳腺、卵巣、子宮などの腫瘍リスクも高いため、全身の長期的スクリーニングが推奨されている。近年は遺伝子診断の普及により早期発見が可能となっている。