Lesch-Nyhan症候群
概要
Lesch-Nyhan症候群は、ヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT)欠損によるX染色体連鎖劣性遺伝性疾患。高尿酸血症、神経症状、自己傷害行動を三徴とする。乳幼児期から発症し、重度の知的障害や運動障害も認められる。
要点
- HGPRT酵素活性の先天的欠損によるプリン代謝異常
- 高尿酸血症に加え、重度の神経症状と自己傷害行動が特徴
- 根治療法はなく、対症療法が中心
病態・原因
X染色体上のHPRT1遺伝子変異によりHGPRT酵素が欠損し、プリン塩基の再利用(サルベージ経路)が障害される。これにより尿酸が過剰産生され、高尿酸血症や尿路結石、神経症状を引き起こす。
主症状・身体所見
乳児期から筋緊張低下や発達遅延がみられ、次第にジストニア、アテトーゼ、痙性麻痺などの運動障害が進行する。2〜3歳頃より自己咬傷などの自己傷害行動が顕著となる。高尿酸血症による腎結石や痛風発作も起こる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血清尿酸値 | 高値 | 幼児期より持続的上昇 |
| HGPRT酵素活性測定 | 著明な低下または欠損 | 遺伝子検査でHPRT1変異確認 |
尿酸値上昇、神経症状、自己傷害行動の三徴で臨床的に疑い、酵素活性測定や遺伝子診断で確定する。脳MRIでは基底核萎縮を認めることがある。
治療
- 第一選択:尿酸生成抑制薬(アロプリノールなど)
- 補助療法:理学療法、作業療法、精神症状への支持的ケア
- 注意点:自己傷害防止のための保護、神経症状への薬物治療は効果限定的
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 痛風 | 神経症状・自己傷害なし | HGPRT活性正常、尿酸高値のみ |
| 高尿酸血症 | 神経症状・運動障害なし | 自己傷害行動なし、酵素活性正常 |
補足事項
女性は保因者となるが、発症例は極めて稀。精神症状や運動障害に対する有効な根本治療は確立されていない。新生児期スクリーニング対象外であり、家族歴が重要となる。