Curling潰瘍
概要
Curling潰瘍は重度熱傷や外傷、重篤な全身ストレス時に発症する急性胃・十二指腸潰瘍である。主に十二指腸に生じ、消化管出血や穿孔など重篤な合併症を引き起こすことがある。ストレス潰瘍の一種で、救急・集中治療領域で重要な疾患である。
要点
- 重度熱傷や外傷後に発症する急性消化性潰瘍
- 主に十二指腸球部に多く、消化管出血が主症状
- 予防的な胃酸分泌抑制が重要な管理法
病態・原因
重度熱傷や外傷、敗血症など全身性の強いストレスにより、胃・十二指腸粘膜の血流障害と防御機構低下が生じることで発症する。胃酸やペプシンによる粘膜障害が進行し、急速に潰瘍形成に至る。
主症状・身体所見
突然の吐血や下血などの消化管出血が最も多い症状である。重症例ではショックや急性腹症(穿孔時)を呈することがあるが、基礎疾患に隠れて症状が乏しい場合もある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 上部消化管内視鏡 | 十二指腸球部の急性潰瘍、出血 | 診断の決め手となる |
| 血液検査 | 貧血、炎症反応の上昇 | 出血量や全身状態の評価 |
| 画像検査 | 穿孔例で腹部X線やCTで遊離ガス | 腹膜炎や穿孔の診断に有用 |
内視鏡による潰瘍および出血部位の確認が診断に必須である。穿孔例では腹部単純X線やCTで遊離ガス像を認める。基礎疾患やストレスイベントの既往も診断の参考となる。
治療
- 第一選択:プロトンポンプ阻害薬(PPI)やH2ブロッカーの投与
- 補助療法:輸液、輸血、経腸栄養管理、内視鏡的止血
- 注意点:予防的酸分泌抑制、早期経腸栄養導入、出血・穿孔時は外科的対応
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 急性胃粘膜病変 | 熱傷以外のストレスや薬剤で発症 | 内視鏡でびらん主体 |
| 胃潰瘍 | 慢性経過、ピロリ菌やNSAIDs関与 | 内視鏡で慢性潰瘍像 |
| 十二指腸潰瘍 | 慢性経過、空腹時痛が主 | 慢性潰瘍で瘢痕形成あり |
補足事項
近年はPPIなどの予防的投与により発症頻度は減少しているが、重症熱傷や集中治療患者では依然注意が必要である。早期の経腸栄養導入が粘膜保護に有効とされる。