Brugada症候群
概要
Brugada症候群は、主に遺伝的要因により心臓の電気的異常をきたし、突然死のリスクが高い不整脈疾患である。典型的な心電図所見と心室細動による失神や心停止が特徴である。若年から中年男性に多く、診断と治療が重要となる。
要点
- 突然死を来す危険な心室性不整脈疾患
- 特徴的な心電図(coved型ST上昇)で診断
- ICD植込みが唯一の有効な予防策
病態・原因
主にSCN5A遺伝子変異による心筋ナトリウムチャネル異常が原因となり、右室流出路の電気的異常伝導をきたす。家族歴のある常染色体優性遺伝が多いが、孤発例も存在する。発症は睡眠中や安静時が多い。
主症状・身体所見
失神、心停止、動悸などが主症状であり、特に夜間や安静時の突然死が問題となる。身体所見は特異的なものに乏しいが、心電図で右側胸部誘導のcoved型ST上昇が診断の手がかりとなる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 12誘導心電図 | V1~V3誘導でcoved型ST上昇 | 右側胸部誘導でType1パターンが特徴的 |
| 薬剤負荷試験 | ST上昇増強 | フレカイニドやピルジカイニド負荷で診断補助 |
心電図でType1(coved型)ST上昇が認められれば診断となる。薬剤負荷で隠れた所見が顕在化することもある。心室細動や心停止既往も重要な診断基準となる。
治療
- 第一選択:植込み型除細動器(ICD)挿入
- 補助療法:抗不整脈薬(キニジン)投与、生活指導
- 注意点:発熱や薬剤で症状増悪の可能性、家族スクリーニング
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| QT延長症候群 | QT延長とT波変化、運動誘発 | QT延長、T波形異常 |
| WPW症候群 | δ波・PR短縮、発作性頻拍 | 心電図でδ波・PR短縮 |
| 心室頻拍 | 広いQRS波形・規則的頻拍 | 心電図で持続性広QRS頻拍 |
補足事項
Brugada症候群は特にアジア系男性に多く、突然死予防のための早期診断とICD治療が重要である。発熱や特定薬剤で心電図異常が顕在化するため、注意が必要。家族歴がある場合は家族へのスクリーニングも推奨される。