高浸透圧高血糖症候群

概要

高浸透圧高血糖症候群(HHS)は、著明な高血糖と脱水、血清浸透圧の上昇を特徴とする急性の代謝性疾患である。主に2型糖尿病患者に多く、ケトアシドーシスを伴わない点が特徴である。高齢者や基礎疾患を有する患者で発症しやすい。

要点

  • 著明な高血糖と高度脱水、意識障害が主症状
  • ケトアシドーシスは顕著でないが、血清浸透圧は著しく上昇
  • 迅速な輸液と電解質補正、インスリン治療が必要

病態・原因

インスリン作用の相対的低下とストレスホルモンの増加により、血糖値が著しく上昇し、浸透圧利尿による重篤な脱水をきたす。感染症や薬剤(利尿薬、ステロイド)などが誘因となることが多い。

主症状・身体所見

口渇、頻尿、意識障害、脱水徴候(皮膚乾燥、眼球陥没)、しばしば発熱や痙攣を伴う。腹部症状やケトン臭は稀である。

検査・診断

検査所見補足
血糖値600mg/dL以上の高度高血糖通常800mg/dL超もみられる
血清浸透圧320mOsm/kg以上有効浸透圧で評価
血中ケトン体軽度上昇または陰性ケトアシドーシスは目立たない
動脈血液ガスpH7.3以上(アシドーシスは軽度またはなし)

血清浸透圧は「2×Na+血糖/18+BUN/2.8」で算出する。診断は高血糖・高浸透圧・重度脱水・著明なケトアシドーシスを伴わないことにより行う。

治療

  • 第一選択:生理食塩水による迅速な輸液とインスリン静注
  • 補助療法:カリウム等の電解質補正、基礎疾患や誘因(感染症等)の治療
  • 注意点:急激な血糖低下・浸透圧低下は脳浮腫リスク、心不全・腎不全患者では補液量に注意

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
糖尿病ケトアシドーシスケトアシドーシス・腹痛・ケトン臭血中ケトン体・アシドーシスが顕著
乳酸アシドーシス高乳酸血症・ショック症状乳酸高値・アニオンギャップ増加

補足事項

高齢者や認知症患者では発症に気づかれにくく、重症化しやすい。治療開始後は電解質異常や脳浮腫に注意し、慎重なモニタリングが重要である。

関連疾患