糖尿病性昏睡

概要

糖尿病性昏睡は、糖尿病患者において血糖コントロール不良により意識障害を呈する重篤な代謝性疾患である。主に糖尿病ケトアシドーシス(DKA)と高浸透圧高血糖症候群(HHS)が原因となる。迅速な診断と治療が生命予後に直結する。

要点

  • 高血糖と脱水が主病態で、意識障害を呈する
  • ケトアシドーシス型と高浸透圧型で臨床像が異なる
  • 速やかな輸液・インスリン治療が不可欠

病態・原因

インスリン作用の絶対的または相対的不足により、血糖値が著明に上昇し、浸透圧の上昇やケトン体蓄積が進行、脱水や電解質異常を来す。誘因として感染症、手術、薬剤中断、急性疾患などが挙げられる。

主症状・身体所見

意識障害(傾眠から昏睡)、脱水症状(皮膚乾燥、口渇)、頻呼吸(クスマウル呼吸)、悪心・嘔吐、腹痛などがみられる。重症例ではショックやけいれんを伴うこともある。

検査・診断

検査所見補足
血糖値著明な高値(しばしば600mg/dL超)高浸透圧高血糖症候群では特に高値
血液ガス・pHケトアシドーシスではアシドーシスアニオンギャップ増大、重症度判定に重要
血清ケトン体ケトアシドーシスで陽性HHSではケトン体陰性または軽度上昇
電解質・腎機能Na, K異常・BUN/Cr上昇脱水・腎前性腎不全の評価

血糖値、血清ケトン体、動脈血ガス、電解質、浸透圧の測定が診断に必須。DKAではケトン体陽性・代謝性アシドーシス、HHSでは高度高血糖・高浸透圧・ケトン体陰性が特徴。画像検査は鑑別や誘因検索に用いる。

治療

  • 第一選択:輸液およびインスリン静注
  • 補助療法:電解質補正(特にカリウム)、基礎疾患・誘因の治療
  • 注意点:急激な血糖・Na補正は脳浮腫リスク、低カリウム血症に注意

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
低血糖症低血糖発作、発汗、頻脈血糖値低値
肝性脳症肝疾患既往、羽ばたき振戦血中アンモニア高値、肝機能異常
乳酸アシドーシスショックや薬剤歴、乳酸上昇血中乳酸高値、ケトン体陰性

補足事項

高齢者や基礎疾患を有する患者では非典型的経過をとることがある。治療中の電解質モニタリング、誘因検索が再発予防や予後改善に重要。脳浮腫や急性合併症の早期発見にも注意を要する。

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