髄芽腫
概要
髄芽腫は主に小児に発生する中枢神経系の悪性腫瘍で、小脳虫部に好発する。進行が速く、髄液播種をきたしやすい。治療には外科的切除、放射線療法、化学療法の多角的アプローチが必要となる。
要点
- 小児の悪性脳腫瘍の代表で小脳に多い
- 髄液播種による転移リスクが高い
- 早期診断と集学的治療が重要
病態・原因
髄芽腫は小脳虫部の神経外胚葉細胞由来の悪性腫瘍であり、主に5〜9歳の小児に発症する。分子的にはWNT型やSHH型などいくつかのサブタイプが知られている。家族性腫瘍症候群との関連も一部で指摘される。
主症状・身体所見
頭蓋内圧亢進症状(頭痛、嘔吐、意識障害)や小脳症状(歩行障害、運動失調)がみられる。進行例では脊髄への播種による下肢麻痺や背部痛も出現しうる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| MRI脳 | 小脳虫部腫瘤、造影効果あり | 髄液腔への播種も評価 |
| 髄液細胞診 | 腫瘍細胞の検出 | 髄液播種の有無を確認 |
| CT脳 | 高密度腫瘤・水頭症 | 緊急時や骨構造評価に有用 |
MRIで小脳虫部の腫瘍性病変を認め、しばしば第四脳室閉塞による水頭症を伴う。髄液細胞診で腫瘍細胞が検出される場合は播種を示唆する。組織診断が確定診断となる。
治療
- 第一選択:外科的全摘出術(可能な限り)
- 補助療法:全脳全脊髄照射+化学療法(シスプラチンなど)
- 注意点:晩期合併症(認知機能障害、内分泌障害)への配慮
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 星細胞腫 | 境界明瞭で増殖遅い | MRIでT2高信号、造影効果少ない |
| 膠芽腫 | 成人に多く、増殖速い | 境界不明瞭、壊死や出血を伴う |
| 上衣腫 | 第四脳室に好発 | 石灰化や嚢胞形成が多い |
補足事項
治療後の晩期合併症(神経認知障害、ホルモン分泌障害など)が問題となるため、長期フォローアップが不可欠。分子標的治療の開発も進行中。