頭蓋咽頭腫
概要
頭蓋咽頭腫は下垂体近傍に発生する良性の脳腫瘍で、主に小児と中高年に発症する。発育が緩徐であるが、周囲構造への圧迫による多彩な症状を呈する。治療は外科的切除が中心だが、再発や合併症が問題となる。
要点
- 視覚障害や内分泌異常を来たしやすい
- 良性腫瘍だがしばしば再発する
- 治療は手術と放射線療法が主体
病態・原因
頭蓋咽頭腫は胎生期のラトケ嚢遺残から発生する上皮性腫瘍である。発症年齢は小児と中高年に二峰性を示し、遺伝的素因は明確でない。腫瘍は主に鞍上部に発生し、視交叉や下垂体、第三脳室などを圧迫する。
主症状・身体所見
視力障害や視野狭窄が初発症状として多く、特に両耳側半盲が特徴的である。下垂体機能低下による成長障害、性腺機能低下、尿崩症などの内分泌異常もみられる。頭蓋内圧亢進症状(頭痛、嘔吐)を伴うこともある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| MRI頭部 | 鞍上部の嚢胞性・石灰化を伴う腫瘍 | 造影で嚢胞壁や固形部が増強される |
| ホルモン検査 | 下垂体ホルモン分泌低下 | 成長ホルモン、TSH、ACTH、LH/FSHなど |
MRIで鞍上部に嚢胞性・石灰化を伴う腫瘍を認めることが診断の決め手となる。ホルモン検査で下垂体前葉機能低下や中枢性尿崩症所見がみられる。視野検査で両耳側半盲が特徴的。
治療
- 第一選択:外科的摘出術(経頭蓋または経蝶形骨洞アプローチ)
- 補助療法:放射線治療(残存腫瘍や再発例に適応)、内分泌補充療法
- 注意点:術後の内分泌障害や視機能障害の管理、長期的な再発監視
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 下垂体腺腫 | 視野障害よりも内分泌症状が先行しやすい | 石灰化や嚢胞形成は少ない |
| 胚細胞腫瘍(脳腫瘍) | 小児・若年者に多く、腫瘍マーカー上昇 | MRIで均一な腫瘤、嚢胞形成少ない |
補足事項
頭蓋咽頭腫は良性腫瘍であるが、周囲組織への浸潤や癒着が強く、完全摘出が困難なことが多い。術後のホルモン補充や視機能リハビリテーションが重要となる。