胚細胞腫瘍(脳腫瘍)

概要

胚細胞腫瘍(脳腫瘍)は、主に小児から若年成人の脳内に発生する原始的な胚細胞由来の腫瘍である。頭蓋内の正中部(松果体部や下垂体部)に好発し、腫瘍の組織型によって臨床経過や治療方針が異なる。腫瘍マーカーや画像所見が診断・治療に重要な役割を果たす。

要点

  • 小児~若年成人の正中部脳腫瘍として頻度が高い
  • 組織型により治療・予後が大きく異なる
  • 腫瘍マーカー(AFP、β-hCG)が診断・治療の指標となる

病態・原因

胚細胞腫瘍は、胎生期の未分化な胚細胞が脳内に迷入し、腫瘍化することで発症する。主なリスク因子は不明だが、遺伝的素因や発生異常が関与する可能性がある。松果体部や下垂体部といった正中部に好発し、腫瘍型にはセミノーマ系と非セミノーマ系がある。

主症状・身体所見

頭蓋内圧亢進症状(頭痛、嘔吐、意識障害)や視力障害、思春期早発症、尿崩症などがみられる。松果体部腫瘍ではParinaud症候群(上方視麻痺)を呈することがある。下垂体部腫瘍では内分泌異常が目立つ。

検査・診断

検査所見補足
頭部MRI正中部腫瘤、造影効果腫瘍の局在・大きさ・浸潤範囲の評価
腫瘍マーカー(AFP、β-hCG)上昇あり組織型の推定や治療効果判定に有用
脳脊髄液細胞診腫瘍細胞検出髄液播種の評価

診断は画像所見と腫瘍マーカー、時に生検による病理診断を組み合わせて行う。MRIでは正中部の腫瘍性病変を認め、組織型により造影効果が異なる。髄液検査で播種有無も評価する。

治療

  • 第一選択:化学療法+放射線治療(セミノーマ系)、手術+化学療法・放射線治療(非セミノーマ系)
  • 補助療法:頭蓋内圧亢進に対する対症療法、内分泌補充療法
  • 注意点:腫瘍型・播種の有無により治療法が異なるため、正確な診断が重要

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
髄芽腫小脳虫部に好発、進行が速い腫瘍マーカー陰性、MRIで小脳病変
頭蓋咽頭腫下垂体・傍鞍部に発生、石灰化あり腫瘍マーカー陰性、CTで石灰化明瞭
星細胞腫脳実質内に発生、進行緩徐腫瘍マーカー陰性、MRIで辺縁不明瞭な腫瘍

補足事項

胚細胞腫瘍は組織型(セミノーマ系/非セミノーマ系)によって治療感受性や予後が大きく異なるため、マーカーや病理診断による正確な分類が必須となる。近年は化学療法・放射線治療の進歩により、長期生存率が向上している。

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