上衣腫
概要
上衣腫は脳室や脊髄中心管の上衣細胞から発生する神経膠腫の一種で、主に小児に多く発症する。良性から悪性まで多様な病理型が存在し、腫瘍の部位や進展によって臨床像が異なる。
要点
- 脳室周囲や脊髄中心管に発生するグリア系腫瘍
- 小児に多く、頭蓋内圧亢進症状や局所神経症状を呈する
- 手術が主な治療で、再発や播種に注意が必要
病態・原因
上衣腫は脳室系や脊髄中心管の上衣細胞由来の腫瘍であり、発生部位は側脳室、第四脳室、脊髄など多岐にわたる。小児では特に第四脳室に好発し、成人では脊髄発生が多い。染色体異常や遺伝的素因も一部関与する。
主症状・身体所見
腫瘍による脳室閉塞や脳脊髄液循環障害により頭蓋内圧亢進症状(頭痛、嘔吐、意識障害)が生じやすい。発生部位により局所神経症状(運動麻痺、感覚障害、脳神経麻痺など)も認められる。脊髄発生例では下肢の筋力低下や排尿障害がみられる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| MRI | 脳室・脊髄内腫瘍、造影効果、嚢胞・石灰化を伴う | 腫瘍の部位・広がり評価 |
| 病理組織検査 | 側突起形成、ロゼット構造、GFAP陽性 | 病理型の確定診断に必須 |
| CT | 石灰化や腫瘍の大きさ、脳室拡大 | 緊急時や骨構造評価 |
MRIで腫瘍の位置・大きさ・嚢胞や石灰化の有無を確認し、病理組織学的診断で確定する。WHO分類によりグレードが決定される。髄液播種の有無を評価するため脊髄MRIや髄液細胞診が行われる場合もある。
治療
- 第一選択:可能な限りの外科的全摘出
- 補助療法:放射線治療(特に全摘困難例や悪性例)、化学療法は限定的
- 注意点:再発や髄液播種の監視、術後神経障害へのリハビリ
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 星細胞腫 | 脳実質内に発生し脳室との連続性なし | MRIで腫瘍の位置と性状 |
| 髄芽腫 | 小児の第四脳室に好発し進行が速い | 高度造影、播種しやすい |
| 乏突起膠腫 | 皮質下白質に多く石灰化が顕著 | MRI・CTで石灰化強い |
補足事項
上衣腫はWHOグレード1~3に分類され、グレードが高いほど予後不良となる。小児の第四脳室発生例では水頭症を合併しやすく、シャント術が必要となることもある。長期経過観察が重要である。