頸部リンパ節結核
概要
頸部リンパ節結核は結核菌によるリンパ節の慢性感染症で、主に頸部のリンパ節腫脹を呈する。肺外結核の中でも頻度が高く、無痛性のリンパ節腫脹が特徴である。進行すると膿瘍形成や瘻孔形成をきたすことがある。
要点
- 結核菌感染による頸部リンパ節の慢性腫脹
- 無痛性・徐々に増大するリンパ節腫脹が主徴
- 抗結核薬治療が基本、手術は限定的
病態・原因
結核菌(Mycobacterium tuberculosis)感染により、主に咽頭や口腔からのリンパ行性・血行性伝播で頸部リンパ節に病変が生じる。免疫低下や既往の結核感染がリスク因子となる。
主症状・身体所見
無痛性で徐々に増大する頸部リンパ節腫脹が典型で、皮膚発赤や圧痛は初期には乏しい。進行例ではリンパ節が軟化し、膿瘍や瘻孔形成、皮膚潰瘍を伴うことがある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 画像検査(超音波・CT) | リンパ節腫大・内部低エコー・被膜不整 | 膿瘍形成や瘻孔の評価に有用 |
| 病理組織検査 | 乾酪壊死を伴う類上皮細胞肉芽腫 | 穿刺吸引または生検で確定 |
| 抗酸菌染色・培養 | 結核菌の検出 | 確定診断に不可欠 |
画像検査で特徴的なリンパ節腫大や内部変化を認め、穿刺吸引や生検で乾酪壊死性肉芽腫や結核菌証明が診断基準となる。血液検査で炎症反応や結核感染の既往も参考となる。
治療
- 第一選択:標準的抗結核薬(INH、RFP、EB、PZA)による多剤併用療法
- 補助療法:膿瘍形成例では穿刺排膿やドレナージ
- 注意点:治療中断による再発・耐性菌化防止に留意
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 悪性リンパ腫 | 全身症状・多発性腫脹・可動性良好 | 病理で腫瘍性細胞 |
| 亜急性壊死性リンパ節炎 | 若年女性・発熱・圧痛を伴う腫脹 | 病理で壊死性変化だが乾酪壊死なし |
補足事項
HIV感染例や高齢者では非典型的な経過をとることがある。近年は抗結核薬耐性例や非結核性抗酸菌症との鑑別が重要となっている。