非結核性抗酸菌症

概要

非結核性抗酸菌症(NTM症)は、結核菌やらい菌以外の抗酸菌による慢性感染症である。肺を主な感染部位とし、免疫低下者や基礎疾患を持つ患者で発症しやすい。臨床像や画像所見は結核症と類似するが、治療法や予後は異なる。

要点

  • 結核菌・らい菌以外の抗酸菌が原因
  • 肺病変が中心で慢性経過をとる
  • 抗菌薬多剤併用療法が基本

病態・原因

非結核性抗酸菌(NTM)は土壌・水中など自然環境に広く分布し、主に経気道的に感染する。高齢者や慢性肺疾患、免疫抑制状態が発症リスクとなる。代表的な原因菌はMycobacterium avium complex(MAC)やM. kansasiiなど。

主症状・身体所見

慢性的な咳嗽、喀痰、血痰、発熱、体重減少などがみられる。身体所見は乏しいことが多いが、進行例では呼吸困難やばち指を認めることもある。

検査・診断

検査所見補足
喀痰抗酸菌塗抹・培養抗酸菌陽性結核菌は除外する
胸部CT小結節、気管支拡張、空洞結核との鑑別に重要

診断は抗酸菌の反復分離(2回以上)と臨床・画像所見の組み合わせが必要。結核菌PCRや培養で結核菌陰性を確認する。画像では空洞形成やtree-in-bud様陰影が特徴的。

治療

  • 第一選択:クラリスロマイシン、リファンピシン、エタンブトールの多剤併用
  • 補助療法:喀痰排出指導、栄養管理、基礎疾患の治療
  • 注意点:治療期間が長期(1.5年以上)で副作用管理が重要

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
肺結核症結核菌PCR・培養陽性、感染力あり結核菌検出、治療薬異なる
肺アスペルギルス症真菌抗体・抗原陽性、免疫低下で発症抗酸菌陰性、真菌検査陽性

補足事項

非結核性抗酸菌症は環境中に存在するため院内感染は稀である。耐性化や再発が問題となるため、治療中は定期的な菌検出・副作用チェックが必須である。

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