関節結核
概要
関節結核は結核菌(Mycobacterium tuberculosis)による関節の慢性感染症で、骨関節結核の一型である。主に体重負荷関節(股関節や膝関節)に好発し、進行すると関節破壊や変形をきたす。発展途上国や免疫低下患者で発症頻度が高い。
要点
- 結核菌による慢性関節炎である
- 進行すると関節破壊・変形を生じる
- 早期診断・治療が不可欠
病態・原因
結核菌が血行性に骨や関節に播種し、慢性的な肉芽腫性炎症を惹起する。免疫低下状態や既存の肺結核患者で発症リスクが高い。関節滑膜や骨端部に好発し、徐々に関節破壊が進行する。
主症状・身体所見
関節の腫脹、疼痛、可動域制限が主症状で、発熱や全身倦怠感を伴うこともある。進行例では関節水腫や膿瘍形成、瘻孔形成を認めることがある。慢性経過をとるため、急性の炎症徴候は目立たない。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| X線・MRI | 骨端部の骨破壊、関節裂隙狭小化、軟部組織腫脹 | 進行例で骨融解像、瘻孔形成 |
| 関節穿刺液検査 | 淡黄色混濁液、リンパ球優位の細胞増多 | 抗酸菌染色・培養で結核菌検出 |
| 結核菌PCR | 結核菌DNA陽性 | 感度・特異度高い |
慢性経過の関節炎で画像的に骨破壊や軟部腫脹を認め、関節液や組織から結核菌が検出されれば診断となる。MRIは早期診断に有用。組織生検で乾酪壊死や類上皮細胞肉芽腫も診断根拠となる。
治療
- 第一選択:抗結核薬(イソニアジド、リファンピシン、ピラジナミド、エタンブトール併用)
- 補助療法:安静・関節固定、リハビリテーション
- 注意点:治療期間は6か月以上、薬剤耐性や副作用に注意
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 化膿性関節炎 | 急性発症、高熱、激しい炎症所見 | 関節液で好中球優位、細菌培養陽性 |
| 関節リウマチ | 多関節性、対称性、朝のこわばり | リウマトイド因子、抗CCP抗体陽性 |
補足事項
関節結核は結核流行地域や免疫抑制患者で注意が必要。早期治療により関節機能温存が可能だが、診断遅延で不可逆的な関節障害を残すことがある。外科的治療は膿瘍や瘻孔形成例で適応となる。