適応障害
概要
適応障害は、明確なストレス因に対し情緒面や行動面の症状が現れ、社会的・職業的機能に支障をきたす反応性精神障害である。ストレス因の除去や緩和で症状が改善することが多い。発症から6か月以内に症状が出現し、慢性化はまれである。
要点
- 明確なストレス因により発症する可逆的な精神障害
- 抑うつ、不安、行動障害など多様な症状を呈する
- ストレス因の除去・心理的支援が治療の中心
病態・原因
適応障害は、生活上の変化や困難(例:転職、離婚、喪失体験など)という明確なストレス因への反応として生じる。個人の脆弱性やストレス対処能力も発症に関与する。生物学的素因より心理社会的要因が中心となる。
主症状・身体所見
主な症状は抑うつ気分、不安、焦燥、易怒性、行動の変化(欠勤・遅刻・反抗など)である。身体症状としては不眠、食欲不振、倦怠感などがみられる。症状はストレス因に一致しており、その除去で軽快する傾向がある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 精神科面接 | ストレス因と症状の関連 | DSM-5診断基準に基づく |
| 心理検査 | 抑うつ・不安の程度 | HAMD、BDIなど補助的利用 |
診断はDSM-5の基準に従い、ストレス因への反応として症状が出現し、他の精神疾患や正常反応では説明できない場合に適応障害とされる。画像検査や血液検査は除外診断目的で施行されることがある。
治療
- 第一選択:ストレス因の同定と除去、心理的支援(カウンセリング)
- 補助療法:必要に応じて抗うつ薬・抗不安薬、認知行動療法
- 注意点:薬物療法は短期間・最小限にとどめ、慢性化や他疾患への移行に注意
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| うつ病 | 症状の持続性・重症度・自責感 | 抑うつ症状がより顕著、DSM-5基準で鑑別 |
| 不安障害 | 不安症状が中心、ストレス因不明瞭 | 不安の持続・過剰、ストレス因との直接関連が薄い |
補足事項
適応障害はストレスマネジメントや環境調整が極めて重要であり、早期介入が予後を左右する。慢性化や自殺リスクにも配慮が必要となる。