西ナイル熱
概要
西ナイル熱は西ナイルウイルスによる急性ウイルス性感染症で、主に蚊を媒介してヒトに感染する。発熱や頭痛、筋肉痛などの全身症状を呈し、重症例では神経症状を引き起こすことがある。世界的に分布し、特に夏季に流行がみられる。
要点
- 蚊が媒介するウイルス性人獣共通感染症
- 発熱・筋痛・神経症状が特徴
- 重症化例では髄膜炎や脳炎をきたす
病態・原因
西ナイルウイルスはフラビウイルス科に属し、主にコガタアカイエカなどの蚊が媒介する。鳥類が自然宿主であり、蚊を介してヒトや馬などに感染が拡大する。ヒトからヒトへの感染は基本的にみられない。
主症状・身体所見
発熱、頭痛、筋肉痛、倦怠感、悪心などがみられる。重症例では意識障害、痙攣、麻痺などの神経症状や髄膜炎、脳炎を呈する。発疹やリンパ節腫脹を伴うこともある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血清抗体検査 | IgM抗体・IgG抗体の上昇 | 発症数日後から上昇 |
| PCR検査 | ウイルスRNA検出 | 血液・髄液で陽性 |
| 髄液検査 | 細胞数増加・蛋白上昇、糖正常 | 髄膜炎・脳炎時に有用 |
確定診断には血清学的検査やPCRによるウイルス遺伝子の検出が重要。画像検査(MRIなど)で脳炎の病変を認めることがあるが、特異的な所見は乏しい。
治療
- 第一選択:対症療法(解熱・補液・呼吸管理)
- 補助療法:重症例では集中治療、二次感染予防
- 注意点:特異的治療薬やワクチンは存在しない
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 日本脳炎 | 流行地・蚊媒介・神経症状強い | 日本脳炎ウイルス抗体陽性 |
| デング熱 | 発疹・関節痛・出血傾向 | デングウイルス抗体陽性 |
| エボラ出血熱 | 出血傾向・多臓器不全 | エボラウイルスPCR陽性 |
補足事項
西ナイル熱の多くは軽症または不顕性感染で経過するが、高齢者や免疫不全者では重症化しやすい。日本国内での流行は稀だが、輸入感染症として注意が必要。