自己免疫性膵炎
概要
自己免疫性膵炎は自己免疫機序によって膵臓に慢性炎症が生じる疾患で、IgG4関連疾患の一つに分類される。膵癌との鑑別が重要で、ステロイド治療に良好な反応を示す点が特徴である。中高年男性に多い傾向がある。
要点
- IgG4関連疾患の代表で膵臓に慢性炎症を生じる
- 膵癌との鑑別が重要な臨床課題
- ステロイド治療に高い有効性を示す
病態・原因
自己免疫機序によりIgG4陽性形質細胞が膵臓に浸潤し、線維化や腫大を引き起こす。発症リスクには遺伝的素因や他の自己免疫疾患の合併が関与する。膵外病変として胆管、唾液腺、腎臓などにも炎症が及ぶことがある。
主症状・身体所見
無症状のこともあるが、閉塞性黄疸や腹痛、体重減少、糖尿病の新規発症がみられる。膵腫大や閉塞性黄疸による黄疸、腫瘤様病変が身体所見として認められる場合がある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血清IgG4値 | 高値 | 140 mg/dL以上が目安 |
| 画像検査(CT/MRI) | 膵腫大、被膜様低吸収域 | ダクト像のlong strictureや腫瘤形成 |
| ERCP | 主膵管の長い狭窄 | 膵癌との鑑別に有用 |
| 病理組織 | IgG4陽性形質細胞浸潤、線維化 | 生検が診断の決め手となる |
血清IgG4高値、画像所見、膵外病変、組織所見を組み合わせて診断する。膵癌との鑑別のために組織診断が重要となる。
治療
- 第一選択:プレドニゾロンなどのステロイド投与
- 補助療法:免疫抑制薬(アザチオプリン等)、支持療法
- 注意点:再発例では維持療法や長期経過観察が必要
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 膵癌 | 局所性腫瘤、進行性経過 | 腫瘍マーカー高値、画像で被膜形成なし |
| 慢性膵炎 | 石灰化や膵管拡張 | 画像でびまん性線維化・石灰化 |
補足事項
IgG4関連疾患として他臓器病変(胆管、唾液腺、腎臓など)を合併することがある。ステロイド治療に対する反応性が診断・治療の重要な指標となる。