肛門癌

概要

肛門癌は肛門管やその周囲の皮膚に発生する悪性腫瘍で、主に扁平上皮癌が多い。発症頻度は消化管癌の中では比較的稀だが、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染がリスクとして重要視される。進行すると局所浸潤やリンパ節転移をきたすことがある。

要点

  • 肛門管や肛門周囲皮膚に発生する悪性腫瘍
  • HPV感染が主な発症リスク
  • 局所進展・リンパ節転移に注意

病態・原因

主な原因はヒトパピローマウイルス(HPV)感染であり、特に16型や18型が関与する。その他、肛門性交、免疫抑制状態、慢性的な炎症や外傷もリスク因子となる。扁平上皮癌が最多だが、腺癌や基底細胞癌なども存在する。

主症状・身体所見

肛門部のしこり、出血、疼痛、潰瘍形成、排便時痛、肛門周囲のびらんや腫瘤がみられる。進行例ではリンパ節腫脹や直腸指診で腫瘤を触知することがある。

検査・診断

検査所見補足
直腸指診肛門部腫瘤、潰瘍、硬結進行例で触知しやすい
生検扁平上皮癌などの組織学的診断病理組織診断が必須
画像検査腫瘍の局所浸潤・リンパ節腫脹CT/MRIで進展評価

確定診断には生検による組織学的証明が必要である。画像検査(CT、MRI)は腫瘍の局所進展やリンパ節転移、遠隔転移の評価に有用。PET-CTが追加されることもある。

治療

  • 第一選択:化学放射線療法(CRT)が標準治療
  • 補助療法:局所切除術、進行例では腹会陰式直腸切断術
  • 注意点:再発例や難治例では手術や追加化学療法を検討

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
痔瘻長期経過・膿瘍形成・瘻孔生検で悪性所見なし
内痔核無痛性出血・腫瘤だが潰瘍形成少ない直腸指診・内視鏡所見
肛門管癌肛門管内部の腫瘤・潰瘍組織型・発生部位の違い

補足事項

肛門癌は近年、HPVワクチン普及による予防効果が期待されている。HIV感染者や免疫抑制患者では発症リスクが高く、検診や早期発見が重要である。

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