網膜中心動脈閉塞症
概要
網膜中心動脈閉塞症は、網膜に血液を供給する中心動脈が急激に閉塞し、急性の無痛性視力障害をきたす疾患である。主に動脈硬化や心原性塞栓が原因となり、迅速な診断と治療が視機能予後を左右する。
要点
- 突然の無痛性視力低下が主症状
- 眼底でcherry-red spotを認める
- 治療は発症早期の血流再開が重要
病態・原因
網膜中心動脈閉塞症は、動脈硬化や心房細動などによる塞栓、または血栓形成によって網膜中心動脈が閉塞し、網膜の虚血・壊死が生じる。リスク因子には高血圧、糖尿病、脂質異常症、心疾患などが挙げられる。
主症状・身体所見
突然発症する片眼の著明な視力低下が特徴で、痛みは伴わない。眼底検査では網膜の蒼白化と黄斑部のcherry-red spotが認められる。対光反射の消失や視野の広範な欠損もみられる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 眼底検査 | 網膜の蒼白化、cherry-red spot | 典型的所見、診断の決め手 |
| 蛍光眼底造影 | 網膜動脈の循環遅延 | 虚血範囲や血流障害の評価に有用 |
診断は臨床症状と眼底検査所見で行う。蛍光眼底造影で網膜動脈の循環遅延や虚血部位を確認する。原因検索として心電図や頸動脈エコーも重要。
治療
- 第一選択:眼球マッサージ、前房穿刺、高圧酸素療法
- 補助療法:血管拡張薬、抗凝固療法、塞栓源検索と管理
- 注意点:発症後4時間以内の治療開始が視力予後に直結
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 網膜中心静脈閉塞症 | 静脈の蛇行・出血斑、視力低下は比較的緩徐 | 静脈拡張・出血が主体 |
| 網膜動脈分枝閉塞症 | 部分的な視野欠損、網膜の一部蒼白 | 部分的虚血・cherry-red spotなし |
補足事項
網膜中心動脈閉塞症は脳梗塞など全身血管イベントの前兆となる場合もあり、全身的な血管評価・管理が重要である。予後は治療開始のタイミングに強く依存する。