粟粒結核
概要
粟粒結核は結核菌が血行性に全身へ播種し、多臓器に粟粒大の結節(肉芽腫)を形成する重篤な全身性結核症である。免疫低下者や高齢者で発症しやすく、診断・治療の遅れが致命的となることが多い。
要点
- 結核菌の血行性播種による全身性疾患
- 発熱・全身倦怠感など非特異的症状が多い
- 早期診断と多剤併用抗結核薬治療が重要
病態・原因
結核菌が原発巣から血行性に全身へ播種し、肺をはじめ肝臓・脾臓・骨髄など多臓器に粟粒大(1~2mm)の結節性病変を形成する。免疫低下状態(高齢、HIV感染、糖尿病、ステロイド投与など)がリスク因子となる。
主症状・身体所見
発熱、全身倦怠感、体重減少、寝汗などの全身症状が中心で、呼吸器症状は軽微なことも多い。肝脾腫やリンパ節腫脹、場合によっては意識障害や髄膜炎症状を呈することもある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 胸部X線・CT | 粟粒状陰影(びまん性小結節影) | 両側肺野に多数の小結節が散在 |
| 喀痰・血液・骨髄培養 | 結核菌陽性 | 培養陽性率は低いが診断確定に有用 |
| ツベルクリン反応/IGRA | 陽性または陰性 | 免疫低下例では陰性もありうる |
画像所見は両側肺野に1~2mm大の粟粒状陰影が特徴的。確定診断には結核菌の検出が重要だが、培養陽性率は低い。臨床経過・画像・検査の総合判断が必要。
治療
- 第一選択:多剤併用抗結核薬(INH, RFP, EMB, PZAなど)
- 補助療法:全身状態の管理、栄養補給、必要に応じて副腎皮質ステロイド
- 注意点:治療中断の回避、薬剤副作用や肝障害への注意
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| サルコイドーシス | 非乾酪性肉芽腫、両側肺門リンパ節腫脹 | 結核菌陰性、ACE高値 |
| 転移性肺腫瘍 | 既往の悪性腫瘍、結節の大きさが不均一 | 腫瘍マーカー陽性、組織診断 |
| 真菌症(クリプトコッカス症等) | 免疫低下者、真菌抗原陽性 | 真菌培養、抗原検査陽性 |
補足事項
高齢者や免疫抑制状態では典型像を示さないことが多く、鑑別困難な場合がある。治療開始が遅れると致死率が高く、早期の集学的対応が重要である。