石綿肺(アスベスト肺)
概要
石綿肺(アスベスト肺)は、アスベスト(石綿)の長期吸入により生じる職業性の間質性肺疾患である。線維化により肺機能が低下し、胸膜病変を伴うことが多い。進行すると呼吸不全や悪性腫瘍のリスクが上昇する。
要点
- アスベスト曝露の既往が重要な診断手がかりとなる
- 肺線維化と胸膜プラーク形成が特徴
- 悪性中皮腫や肺癌のリスクが増加
病態・原因
主な原因はアスベスト繊維の長期吸入であり、これにより肺胞間質に慢性炎症と線維化が生じる。曝露から発症まで数十年を要することが多く、建設業や造船業などでの曝露歴がリスク因子となる。
主症状・身体所見
初期は無症状だが、進行すると労作時呼吸困難、乾性咳嗽が出現する。聴診では下肺野を中心とした捻髪音が聴取されることがある。ばち指やチアノーゼも進行例でみられる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 胸部X線 | 網状影、蜂巣肺、胸膜プラーク | 下肺野優位、胸膜肥厚も特徴 |
| 胸部CT | 網状影、線維化、胸膜プラーク | 早期病変や軽微な変化も検出 |
| 肺機能検査 | 拘束性換気障害 | 拡散能低下が進行例で顕著 |
診断は曝露歴と画像所見の組み合わせが基本となる。胸部CTでの線維化や胸膜プラークは診断に有用。肺機能検査で拘束性障害や拡散能低下を確認する。
治療
- 第一選択:曝露中止と進行抑制、対症療法
- 補助療法:呼吸リハビリテーション、酸素療法
- 注意点:悪性腫瘍(中皮腫・肺癌)発症の早期発見と定期的フォロー
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 珪肺 | 珪酸粉塵曝露歴、上肺野優位の線維化 | 上肺野結節影、卵殻状石灰化 |
| 特発性肺線維症 | 曝露歴なし、高齢男性に多い | 蜂巣肺、下肺野優位 |
| サルコイドーシス | 若年〜中年女性に多い、全身症状 | 両側肺門リンパ節腫脹 |
補足事項
石綿曝露者は胸膜中皮腫や肺癌のリスクが高く、発癌予防や早期発見のための定期的な画像検査が重要である。石綿関連疾患は労災認定の対象となる。