ベリリウム中毒
概要
ベリリウム中毒は、ベリリウムまたはその化合物への曝露により発症する中毒性疾患で、急性型と慢性型が存在する。主に職業性曝露が原因で、呼吸器障害を中心に多彩な臨床症状を呈する。慢性型は間質性肺炎や肉芽腫性病変を特徴とする。
要点
- ベリリウム曝露による急性・慢性の中毒症状を呈する
- 慢性型では間質性肺疾患や肉芽腫形成が主体
- 職業性曝露歴の確認と特殊検査が診断の鍵
病態・原因
ベリリウムは主に工業現場で吸入され、急性型では高濃度曝露による気道・肺の炎症、慢性型では低濃度長期曝露によるアレルギー性肉芽腫性肺炎(ベリリウム肺)を生じる。感受性には遺伝的要因も関与する。
主症状・身体所見
急性型では咳嗽、呼吸困難、発熱、咽頭痛などの急性気道炎症症状が現れる。慢性型では進行性の労作時呼吸困難、乾性咳嗽、全身倦怠感などが主で、聴診で捻髪音を認めることがある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 胸部X線・CT | 間質性陰影、肉芽腫性変化 | 慢性型で特徴的 |
| ベリリウムリンパ球増殖試験(BeLPT) | 陽性 | ベリリウム感作の証明 |
| 肺機能検査 | 拘束性換気障害 | 拘束性パターン、DLCO低下 |
慢性型では胸部画像で両側性網状影や結節影がみられる。BeLPTは確定診断に有用。職業歴の聴取が重要で、サルコイドーシスとの鑑別も必要。
治療
- 第一選択:曝露回避と職場環境改善
- 補助療法:副腎皮質ステロイド投与
- 注意点:再曝露防止と定期的な肺機能・画像モニタリング
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| サルコイドーシス | 非職業性、全身性病変 | ベリリウム感作なし、BeLPT陰性 |
| 珪肺 | 珪素曝露歴、上肺野優位 | 肉芽腫形成は稀、ベリリウム感作なし |
補足事項
慢性ベリリウム中毒は発症までに数年かかることもあり、曝露歴の詳細な聴取が不可欠。サルコイドーシスと臨床・画像所見が類似するため、鑑別診断にはベリリウム感作の証明が重要。近年は曝露規制強化により発症頻度は減少傾向。