塵肺
概要
塵肺は、長期間にわたり鉱物性粉塵などの吸入により発症する職業性の慢性肺疾患である。線維化や結節形成を主徴とし、不可逆的な肺障害をきたす。進行すると呼吸機能障害や合併症のリスクが高まる。
要点
- 粉塵吸入による慢性の間質性肺疾患
- 肺線維化や結節形成が進行すると呼吸障害を生じる
- 職業歴の聴取と画像診断が重要
病態・原因
主に炭鉱、鉱山、建設現場などでの石炭粉塵、シリカ粉塵、アスベストなどの長期吸入が原因となる。吸入粉塵が肺胞に沈着し、慢性炎症と線維化、結節形成を引き起こす。粉塵の種類や曝露量・期間がリスク因子となる。
主症状・身体所見
初期は無症状のことが多いが、進行すると労作時呼吸困難、咳嗽、喀痰、喘鳴などがみられる。身体所見ではばち指やチアノーゼ、進行例では呼吸困難増悪や右心不全が出現する。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 胸部X線 | 小結節影、網状影、線状影 | 上肺野優位、進行で卵殻状石灰化も |
| 胸部CT | 小結節、線維化、蜂巣肺 | 画像診断で診断精度向上 |
| 呼吸機能検査 | 拘束性障害、拡散能低下 | 進行例で著明 |
診断は職業歴の詳細な聴取と胸部画像所見が中心となる。CTでの小結節・線維化パターンが特徴的で、粉塵曝露歴の有無が重要。鑑別には結核や他の間質性肺疾患を考慮する。
治療
- 第一選択:曝露中止と環境改善
- 補助療法:対症療法(酸素投与、リハビリテーション)、合併症管理
- 注意点:進行例では呼吸不全や肺癌の発症リスクに留意
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 珪肺 | シリカ粉塵曝露歴、卵殻状石灰化 | 結節の分布や石灰化パターン |
| 石綿肺 | アスベスト曝露歴、胸膜プラーク | 胸膜肥厚・石灰化 |
補足事項
粉塵曝露の防止が最も重要な予防策であり、法的な職業安全対策が求められる。進行例では慢性呼吸不全や肺癌、結核の合併が問題となる。