異所性ACTH産生腫瘍
概要
異所性ACTH産生腫瘍は、肺小細胞癌などの非下垂体性腫瘍が副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)を過剰に分泌し、クッシング症候群を引き起こす疾患である。下垂体以外の腫瘍が原因となるため、発見や診断が困難なことが多い。重度の高コルチゾール血症による代謝異常や感染症リスクが問題となる。
要点
- 下垂体以外の腫瘍がACTHを産生する
- 急速かつ重症なクッシング症候群を呈する
- 原発巣検索と内分泌検査が診断の鍵
病態・原因
肺小細胞癌や膵神経内分泌腫瘍などの悪性腫瘍が、異所性にACTHを産生し、副腎皮質から過剰なコルチゾール分泌を引き起こす。発症リスクには悪性腫瘍の存在が関与し、特に肺や膵、胸腺などが原発巣となりやすい。
主症状・身体所見
典型的なクッシング症候群症状(中心性肥満、満月様顔貌、筋力低下、高血圧、糖尿病)に加え、低カリウム血症や感染症、精神症状が急速に進行することが特徴である。皮膚の菲薄化や紫斑も認められる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血中ACTH・コルチゾール | ACTH・コルチゾールともに高値 | 日内変動消失 |
| 低用量・高用量デキサメタゾン抑制試験 | 抑制されない | 下垂体性との鑑別に有用 |
| 画像検査(CT/MRI/PET) | 原発巣(肺・膵など)の腫瘍性病変 | 原発巣検索に必須 |
ACTH高値・コルチゾール高値で日内変動が消失し、デキサメタゾン抑制試験で抑制されないことが診断のポイント。原発腫瘍の局在診断には全身の画像検査が不可欠である。
治療
- 第一選択:原発腫瘍の切除または化学療法
- 補助療法:副腎酵素阻害薬(メトクロタン、ケトコナゾール)によるコルチゾール抑制
- 注意点:感染症・血栓症・代謝異常の管理、重篤時は副腎摘除も検討
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| Cushing病 | 下垂体腺腫がACTH産生 | 高用量デキサメタゾンで抑制 |
| 副腎腺腫 | ACTH非依存性でACTH低値 | コルチゾール高値・ACTH低値 |
| ステロイド投与 | 医原性、ACTH・コルチゾールともに変動 | 服薬歴とホルモン動態 |
補足事項
異所性ACTH産生腫瘍は、原発巣の特定が困難な場合も多く、全身検索や反復的な画像検査が必要となる。急性増悪時には副腎摘除が救命的となる場合がある。