特発性肺線維症
概要
特発性肺線維症(IPF)は、原因不明の慢性進行性間質性肺炎であり、肺胞壁の線維化が主体となる。主に中高年男性に多く、予後不良で呼吸不全へ進行しやすい。診断と治療には専門的な知識と多職種連携が必要とされる。
要点
- 原因不明で進行性の線維化を特徴とする
- 高分解能CTで蜂巣肺など特有の画像所見を示す
- 抗線維化薬による治療が中心だが、根治は困難
病態・原因
発症機序は明らかでないが、遺伝的素因や環境因子(喫煙、粉塵曝露など)が関与し、肺胞上皮細胞の障害と異常修復が線維化を促進する。慢性的な炎症よりも線維化が主体の病態を示す。
主症状・身体所見
労作時呼吸困難と乾性咳嗽が初発症状で、進行に伴い安静時も呼吸困難が出現する。聴診で両側背下部にfine crackles(Velcro rales)が特徴的で、ばち指を認めることもある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 胸部高分解能CT(HRCT) | 蜂巣肺、網状影、両側性びまん性陰影 | UIPパターンが特徴的 |
| 肺機能検査 | 拘束性障害、拡散能低下 | %VC低下、DLCO低下 |
| 動脈血液ガス分析 | 低酸素血症 | 進行例で顕著 |
診断は臨床症状とHRCTによる画像所見(UIPパターン)を中心に行い、他の間質性肺疾患を除外する。必要に応じて外科的肺生検が行われるが、リスクを考慮して慎重に適応を決定する。
治療
- 第一選択:抗線維化薬(ピルフェニドン、ニンテダニブ)
- 補助療法:酸素療法、呼吸リハビリテーション、ワクチン接種
- 注意点:ステロイド単独投与は推奨されず、急性増悪時は慎重な対応が必要
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 非特異性間質性肺炎 | 若年女性や膠原病関連が多い | HRCTで蜂巣肺少なく均一な陰影 |
| 塵肺 | 粉塵暴露歴あり | 上肺野優位の結節影 |
| サルコイドーシス | 若年成人、両側肺門リンパ節腫脹 | 血清ACE高値、結節性陰影 |
補足事項
特発性肺線維症は進行性かつ予後不良のため、早期診断と治療開始が重要である。急性増悪のリスクが高く、感染や外科的侵襲による悪化に注意を要する。臓器移植も考慮される場合がある。