無石胆囊炎
概要
無石胆囊炎は胆石を伴わずに発症する胆囊の炎症性疾患であり、重症化しやすく、基礎疾患や全身状態の悪化時にみられることが多い。特に重症患者や高齢者、外傷・熱傷・術後などのストレス状態で発症しやすい。
要点
- 胆石を伴わない胆囊炎で重症化しやすい
- 全身疾患や重症患者に多く発症
- 早期診断・治療が予後改善に重要
病態・原因
無石胆囊炎は、胆囊への血流障害や胆汁うっ滞、感染(細菌性)が主な原因とされる。重症疾患、外傷、熱傷、長期絶食、TPN(中心静脈栄養)などがリスク因子となる。
主症状・身体所見
右季肋部痛、発熱、悪心・嘔吐、黄疸などがみられるが、高齢者や重症例では症状が不明瞭なことも多い。Murphy徴候陽性や右上腹部圧痛が典型的だが、全身状態悪化が先行する場合もある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 腹部超音波 | 胆囊壁肥厚、胆囊腫大、胆泥 | 胆石は認めない |
| CT/MRI | 胆囊壁肥厚、周囲脂肪濃度上昇 | 壊死性変化や穿孔も評価可能 |
| 血液検査 | 白血球増多、CRP上昇、肝酵素上昇 | 感染・炎症の指標 |
診断は画像所見と臨床症状の組み合わせで行う。急性胆囊炎診断基準を参考にしつつ、胆石の有無を確認することが重要。画像で胆石がなく、胆囊壁の肥厚や腫大、周囲炎症所見があれば本症を疑う。血液培養で菌血症を伴うこともある。
治療
- 第一選択:抗菌薬投与と支持療法(補液・絶食)、重症例では早期胆囊ドレナージや胆囊摘出術
- 補助療法:全身管理、基礎疾患の治療、栄養管理
- 注意点:重症化・穿孔・敗血症のリスクが高く、早期治療介入が必要
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 急性胆囊炎 | 胆石を伴うことが多い | 超音波・CTで胆石を認める |
| 気腫性胆囊炎 | 胆囊壁・腔内にガス像 | 画像でガス像を認める |
| 急性膵炎 | 上腹部痛・膵酵素上昇 | 血清アミラーゼ・リパーゼ上昇 |
補足事項
無石胆囊炎は予後不良例が多いため、疑った時点で迅速な診断・治療が重要。特にICU入院患者や長期絶食例では定期的な腹部画像評価も推奨される。