梅毒
概要
梅毒はトレポネーマ・パリダム(Treponema pallidum)による慢性の全身性感染症である。感染は主に性的接触を介して起こり、進行すると多彩な臨床症状を呈する。早期発見と治療が重要な公衆衛生上の疾患である。
要点
- トレポネーマ・パリダムによる全身性感染症
- 病期によって症状が大きく異なる
- 早期治療により予後は良好
病態・原因
梅毒は主に性的接触により感染し、母子感染も起こりうる。病原体はスピロヘータであるトレポネーマ・パリダムで、血行性・リンパ行性に全身へ波及する。感染後、無症候期を経て多彩な臨床経過を呈する。
主症状・身体所見
初期には感染部位に硬性下疳(無痛性潰瘍)を生じ、続いて全身性の発疹やリンパ節腫脹がみられる。進行例では心血管系・神経系など多臓器障害(梅毒性大動脈炎、脊髄癆など)を呈する。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| RPR・TPHA法 | 陽性 | 非特異的・特異的抗体検査 |
| ダークフィールド顕微鏡 | スピロヘータ検出 | 初期病変の直接検出 |
血清学的検査が診断の中心であり、RPRやTPHA検査で確定する。早期梅毒では病変部のダークフィールド顕微鏡検査も有用。神経梅毒が疑われる場合は髄液検査も行う。
治療
- 第一選択:ペニシリン系抗菌薬(ベンザチンペニシリン筋注)
- 補助療法:ドキシサイクリン・セフェム系(ペニシリンアレルギー時)
- 注意点:治療開始後Jarisch-Herxheimer反応に注意
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 性器ヘルペス | 疼痛性小水疱・潰瘍 | HSV抗体・ウイルス分離 |
| 淋菌性尿道炎 | 排尿時痛・膿性分泌物 | グラム染色・培養 |
補足事項
梅毒は近年再増加傾向にあり、早期発見とパートナー同時治療が重要である。母子感染による先天梅毒にも留意が必要。