月経瘻
概要
月経瘻は子宮や腟から他の臓器(多くは膀胱や直腸)への異常な瘻孔が形成され、月経血が本来の経路以外から排出される疾患。主に分娩や婦人科手術、外傷、放射線治療などに続発する。臨床的には持続的な異常出血や尿・便への血液混入を特徴とする。
要点
- 子宮または腟と他臓器間に異常交通が生じる
- 月経血が尿や便とともに排出される
- 産科手術や外傷、腫瘍治療後に発生しやすい
病態・原因
月経瘻は分娩時の産道損傷、婦人科・産科手術、骨盤部腫瘍の浸潤、放射線治療、外傷などによる組織壊死や癒着により、子宮・腟と膀胱、直腸などの間に異常な瘻孔が形成されることで発症する。
主症状・身体所見
代表的な症状は、月経時に尿や便に血液が混じること(尿道・直腸からの月経血排出)、持続的な帯下、外陰部のびらんや感染、また瘻孔部の炎症や疼痛がみられる。尿失禁や便失禁を伴うこともある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 膀胱鏡・腟鏡 | 瘻孔の直接確認 | 瘻孔の部位・大きさの評価 |
| 造影検査 | 異常交通の描出 | 膀胱造影・腟造影など |
| MRI/CT | 瘻孔の走行や周囲組織の評価 | 複雑な瘻孔や合併症の検索 |
診断は臨床症状とともに、膀胱鏡・腟鏡などによる瘻孔の直接観察や、造影検査、MRI/CTによる異常交通の描出によって確定する。瘻孔の位置や大きさ、合併症の有無を詳細に評価することが重要。
治療
- 第一選択:瘻孔部の外科的修復術
- 補助療法:感染対策、局所の清潔保持、栄養管理
- 注意点:再発防止のため原因疾患の治療、術後管理の徹底
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 膀胱腟瘻 | 尿失禁主体、月経血混入は稀 | 膀胱造影で尿路との交通 |
| 直腸腟瘻 | 便失禁やガス漏れ、月経血混入 | 直腸造影で直腸との交通 |
| 痔瘻 | 肛門周囲に瘻孔、月経血とは無関係 | 瘻孔の走行は肛門周囲に限局 |
補足事項
月経瘻は稀な疾患だが、産科・婦人科手術件数の増加や放射線治療の普及に伴い、注意が必要である。瘻孔の複雑性や患者背景に応じて多職種連携が重要となる。