成熟囊胞性奇形腫

概要

成熟囊胞性奇形腫は、卵巣に発生する最も頻度の高い良性胚細胞腫瘍であり、皮膚や脂肪、毛髪、歯など多様な組織成分を含む。ほとんどが女性の生殖年齢層に発生し、一般に良性経過をとるが、まれに悪性転化することがある。

要点

  • 卵巣に発生する代表的な良性腫瘍
  • 多様な組織成分(皮膚・脂肪・毛髪・歯など)を含む
  • 茎捻転や悪性転化に注意が必要

病態・原因

成熟囊胞性奇形腫は胚細胞の分化異常により発生し、三胚葉由来の様々な組織成分を含む。発症リスク因子は明確でないが、若年女性に好発する。

主症状・身体所見

多くは無症状で偶然発見されるが、腫瘍が大きくなると下腹部膨満感や圧迫感、疼痛を生じる場合がある。茎捻転時には急性腹症を呈することがある。

検査・診断

検査所見補足
超音波検査囊胞性腫瘍、内部に高エコー成分毛髪・歯などの混在像
CT/MRI脂肪成分、石灰化(歯)を認める脂肪・骨成分の描出
腫瘍マーカー通常は陰性CA125等は非特異的

画像診断で脂肪や石灰化を含む囊胞性腫瘍を認めることが特徴的であり、診断の決め手となる。病理診断は摘出標本で確定する。

治療

  • 第一選択:腫瘍摘出術(腹腔鏡下または開腹手術)
  • 補助療法:経過観察(小型・無症状例)、疼痛対策
  • 注意点:茎捻転・悪性転化の早期発見、術中破裂防止

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
漿液性囊胞腫瘍単純囊胞性で脂肪・石灰化なし画像で脂肪・骨成分なし
粘液性囊胞腫瘍粘液成分主体で多房性が多い画像で粘液性内容物主体
卵巣癌固形成分や充実性腫瘤を伴うこと多い腫瘍マーカー上昇、悪性所見

補足事項

悪性転化は約1%未満と稀だが、40歳以上や腫瘍径が大きい場合は注意が必要。術中破裂は腹膜炎や播種のリスクとなるため慎重な操作が求められる。

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