漿液性(囊胞)腺癌
概要
漿液性(囊胞)腺癌は卵巣に発生する上皮性悪性腫瘍の一つで、漿液性成分を主体とする腺癌である。多くは囊胞性病変として認められ、進行すると腹膜播種や腹水を伴いやすい。卵巣癌の中でも頻度が高く、進行例では予後不良となることが多い。
要点
- 卵巣上皮性腫瘍の中で最多の悪性腫瘍
- 腹膜播種や腹水を伴いやすい
- 進行例では予後不良
病態・原因
漿液性(囊胞)腺癌は卵巣表層上皮由来の悪性腫瘍であり、遺伝的素因(BRCA1/2変異など)や排卵回数の多さがリスク因子とされる。腫瘍は漿液性成分を主体とし、しばしば多房性囊胞を形成する。
主症状・身体所見
初期は無症状のことが多いが、進行すると腹部膨満感、下腹部痛、腹水貯留による腹囲増大などがみられる。腹膜播種による消化器症状や腸閉塞、体重減少を認めることもある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 画像検査 | 卵巣の多房性囊胞性腫瘤、充実成分、腹水 | 超音波・CT・MRIが有用 |
| 腫瘍マーカー | CA125高値、HE4上昇など | 血中マーカーで補助診断 |
| 細胞診 | 悪性腫瘍細胞の検出 | 腹水細胞診が診断に有用 |
画像検査では多房性囊胞性腫瘤と充実成分の混在が特徴的で、腹水や腹膜播種も評価する。確定診断は手術標本の病理組織学的検査による。
治療
- 第一選択:外科的腫瘍摘出術(卵巣・子宮・大網切除など)
- 補助療法:術後化学療法(主にプラチナ製剤+タキサン系)
- 注意点:再発リスクが高く、術後の経過観察と追加治療が重要
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 粘液性(囊胞)腺癌 | 粘液成分主体、しばしば巨大囊胞 | CA19-9高値、画像で粘液性 |
| 明細胞腺癌 | 明細胞成分、しばしば耐性 | CA125上昇、画像で固形成分 |
| 成熟囊胞性奇形腫 | 脂肪・石灰化成分、若年女性に多い | 画像で脂肪成分・歯牙を認める |
補足事項
近年、卵管上皮由来説が提唱されており、ハイリスク症例では予防的卵管卵巣摘出術が検討される。分子標的薬の臨床応用も進行中である。