慢性炎症による二次性貧血

概要

慢性炎症による二次性貧血(anemia of chronic disease)は、感染症や自己免疫疾患、悪性腫瘍などの慢性的な炎症状態に伴って発症する貧血である。鉄代謝異常と造血抑制が主な病態で、鉄欠乏性貧血との鑑別が重要となる。一般に軽度〜中等度の貧血を呈する。

要点

  • 慢性炎症や慢性感染症、悪性腫瘍に伴い発症
  • 鉄利用障害と造血抑制による正球性〜小球性貧血
  • 鉄欠乏性貧血との鑑別が診療上重要

病態・原因

慢性炎症や慢性感染症、自己免疫疾患、悪性腫瘍などによりサイトカイン(特にIL-6)が産生され、肝臓でヘプシジンが増加する。これにより腸管からの鉄吸収が抑制され、貯蔵鉄の利用障害が生じる。さらに炎症により骨髄での造血も抑制される。

主症状・身体所見

自覚症状は貧血による易疲労感、息切れ、動悸などがみられるが、基礎疾患の症状が前面に出ることも多い。身体所見として顔面蒼白がみられることがあるが、慢性経過のため症状は軽度なことが多い。

検査・診断

検査所見補足
血算正球性〜小球性、低色素性貧血赤血球数・Hb・Ht低下
血清鉄・フェリチン血清鉄低値、フェリチン正常〜高値フェリチンは炎症で上昇
TIBC低値鉄欠乏性貧血では高値

血液検査で正球性または小球性低色素性貧血を認め、血清鉄低値・TIBC低値・フェリチン正常〜高値が特徴的。診断は基礎疾患の存在とこれらの検査所見の組み合わせで行う。骨髄検査では貯蔵鉄の保有が確認される。

治療

  • 第一選択:基礎疾患(炎症・感染・腫瘍など)の治療
  • 補助療法:必要に応じてエリスロポエチン製剤投与
  • 注意点:鉄剤投与は原則不要・過剰投与に注意

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
鉄欠乏性貧血フェリチン低値、TIBC高値血清鉄・フェリチンともに低値
腎性貧血腎機能障害の存在、EPO低下クレアチニン上昇、EPO低値
再生不良性貧血汎血球減少、骨髄低形成白血球・血小板も低下

補足事項

慢性炎症による二次性貧血は高齢者や長期罹患患者で頻度が高く、基礎疾患のコントロールが最重要となる。鉄剤投与は原則不要であり、誤投与に注意する。

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