感染症による二次性貧血
概要
感染症による二次性貧血は、感染症の持続や重症化に伴い、炎症反応や病原体の直接的作用によって発症する貧血である。慢性炎症や急性感染症の経過中にみられ、主に正球性正色素性貧血を呈する。鉄代謝の異常や赤血球寿命の短縮、骨髄での造血抑制が関与する。
要点
- 慢性あるいは重症感染症の経過中に発症する
- 炎症性サイトカインによる鉄利用障害と造血抑制が主因
- 正球性正色素性貧血が多いが経過で変化することもある
病態・原因
感染症が持続すると、炎症性サイトカイン(IL-6など)が肝臓でヘプシジン産生を促進し、鉄の利用障害を引き起こす。また、赤血球寿命の短縮や骨髄での造血抑制も加わり、二次性貧血が発症する。細菌・ウイルス・真菌など多様な病原体が原因となる。
主症状・身体所見
貧血に伴う全身倦怠感や易疲労感、動悸、息切れなどがみられる。感染症の症状(発熱、炎症所見)を伴いやすく、基礎疾患の症状が前景に出ることも多い。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血算 | 正球性正色素性貧血 | 軽度〜中等度の貧血 |
| 血清鉄・フェリチン | 血清鉄低下・フェリチン高値 | 慢性炎症に伴う鉄利用障害 |
| 網赤血球数 | 低値または正常 | 骨髄反応の低下 |
| CRP・ESR | 上昇 | 感染・炎症の活動性指標 |
慢性炎症や感染症の存在を確認し、他の貧血(鉄欠乏性、溶血性など)との鑑別が重要である。骨髄検査は難治例や他疾患疑い時に考慮する。
治療
- 第一選択:基礎となる感染症の治療
- 補助療法:栄養管理、必要時に輸血
- 注意点:鉄剤投与は原則行わず、原因感染症のコントロールを優先
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 鉄欠乏性貧血 | フェリチン低値、鉄欠乏症状 | 血清鉄・フェリチンともに低値 |
| 慢性炎症による二次性貧血 | 基礎疾患に慢性炎症、フェリチン高値 | フェリチン高値、CRP上昇 |
| 溶血性貧血 | 黄疸やLDH上昇、網赤血球増加 | 網赤血球増加、間接ビリルビン上昇 |
補足事項
小児や高齢者、免疫不全患者では症状が非特異的なことが多く、基礎疾患や感染症のコントロールが最重要となる。貧血の重症度は基礎疾患や感染症の経過により変動する。