市中肺炎
概要
市中肺炎は、病院外で日常生活を送る中で発症する肺炎の総称であり、主に細菌やウイルスなどの病原体による急性下気道感染症である。高齢者や基礎疾患を有する者で重症化しやすい。診断・治療には原因微生物の推定と重症度評価が重要となる。
要点
- 市中で発症し、院内肺炎とは区別される
- 肺炎球菌などの細菌が主な原因
- 早期診断と重症度評価が予後を左右する
病態・原因
市中肺炎は、主に肺炎球菌、インフルエンザ菌、マイコプラズマなどの細菌やウイルスが原因となる。高齢者、慢性疾患患者、免疫低下状態がリスク因子となる。飛沫感染や接触感染により病原体が下気道に侵入し、炎症反応を引き起こす。
主症状・身体所見
発熱、咳嗽、膿性痰、呼吸困難が典型的な症状である。高齢者では意識障害や脱水など非典型的な症状を呈することもある。聴診でラ音や呼吸音減弱が認められる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 胸部X線 | 浸潤影、区域性陰影 | 典型的な肺炎像を確認 |
| 血液検査 | 白血球増多、CRP上昇 | 炎症反応の評価 |
| 喀痰培養 | 病原菌検出 | 起因菌同定に有用 |
| パルスオキシメトリ | 低酸素血症 | 重症度評価に重要 |
胸部画像での浸潤影や区域性陰影が診断の根拠となる。重症度はCURB-65やA-DROPなどのスコアで評価し、入院適応や治療方針を決定する。起因菌の同定は喀痰培養や迅速抗原検査で行う。
治療
- 第一選択:β-ラクタム系抗菌薬(軽症例ではマクロライドも考慮)
- 補助療法:酸素投与、輸液、対症療法
- 注意点:重症例や耐性菌リスクには広域抗菌薬を検討
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 院内肺炎 | 発症時期と医療関連性 | 起因菌の違い(緑膿菌など) |
| 誤嚥性肺炎 | 嚥下障害・既往歴 | 右下肺野優位の陰影 |
| ウイルス性肺炎 | 鼻汁・咽頭痛先行 | インフルエンザ抗原陽性など |
補足事項
抗菌薬適正使用が重要であり、耐性菌出現に注意する。高齢者や基礎疾患患者では非典型的症状や重症化リスクに留意する。ワクチン接種(肺炎球菌、インフルエンザ)が予防に有効。