家族性高コレステロール血症

概要

家族性高コレステロール血症(FH)は、LDLコレステロールの著明な上昇を特徴とする常染色体優性遺伝性疾患である。動脈硬化性疾患のリスクが高く、若年での冠動脈疾患発症が問題となる。未治療の場合、早期の心血管イベントのリスクが著明に増加する。

要点

  • LDLコレステロール値が顕著に上昇する遺伝性疾患
  • 早期発症の動脈硬化性疾患リスクが高い
  • 皮膚黄色腫やアキレス腱肥厚が診断の手がかり

病態・原因

LDL受容体遺伝子やアポリポ蛋白B、PCSK9遺伝子の変異などにより、LDLコレステロールのクリアランス障害が生じる。常染色体優性遺伝が主だが、ホモ接合体ではより重症となる。家族歴や遺伝背景が重要なリスク因子となる。

主症状・身体所見

無症状のことが多いが、皮膚や腱の黄色腫、アキレス腱の肥厚が特徴的である。若年発症の冠動脈疾患や心筋梗塞がみられる場合もある。家族歴に早発性心血管疾患を認めることが多い。

検査・診断

検査所見補足
血清脂質検査LDLコレステロール高値180mg/dL以上(成人)
画像検査(超音波、CT)動脈硬化性変化頸動脈エコーでプラーク等
遺伝子検査LDLRなどの変異確定診断に有用

LDLコレステロール高値、黄色腫やアキレス腱肥厚、家族歴の有無などを組み合わせて診断する。遺伝子検査は確定診断に有用だが、臨床診断基準も用いられる。画像検査で動脈硬化の進展度を評価する。

治療

  • 第一選択:スタチン系薬剤によるLDLコレステロール低下療法
  • 補助療法:食事療法、エゼチミブやPCSK9阻害薬併用、LDLアフェレーシス(重症例)
  • 注意点:早期治療開始と家族スクリーニングが重要

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
脂質異常症(高脂血症)家族歴や黄色腫の有無遺伝子変異の有無
メタボリックシンドローム肥満・耐糖能異常の合併HDL・中性脂肪の変動

補足事項

LDLコレステロール管理目標は冠動脈疾患リスクや年齢によって異なる。家族歴が明らかでない場合もあるため、身体所見や脂質値に注目して診断を進める。重症例ではLDLアフェレーシスが適応となる。

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