多囊胞性卵巣症候群
概要
多囊胞性卵巣症候群(PCOS)は、排卵障害を伴う女性の内分泌疾患で、月経異常や多毛、不妊の原因となる。卵巣に多数の小囊胞を認めることが特徴で、インスリン抵抗性やアンドロゲン過剰も関与する。
要点
- 月経異常や無月経、不妊の主な原因となる
- アンドロゲン過剰やインスリン抵抗性を伴うことが多い
- 超音波で多囊胞性卵巣像を認める
病態・原因
視床下部-下垂体-卵巣軸の異常やインスリン抵抗性により、LH分泌が相対的に増加し、卵巣でアンドロゲン産生が亢進する。遺伝的素因や肥満もリスク因子となる。
主症状・身体所見
月経不順、無月経、過多月経、不妊が主であり、多毛やにきび、肥満もみられる。卵巣腫大や下腹部の違和感を訴えることもある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血中ホルモン測定 | LH/FSH比上昇、アンドロゲン高値 | エストロゲン持続高値も参考 |
| 経腟超音波検査 | 多数の小囊胞・卵巣腫大 | 直径2-9mmの囊胞が10個以上 |
| 血糖・インスリン | インスリン抵抗性 | HOMA-IR高値など |
ロッテルダム基準(排卵障害、臨床的/生化学的アンドロゲン過剰、多囊胞性卵巣像のうち2項目以上)で診断される。画像所見では「ネックレスサイン」と呼ばれる小囊胞の配列が特徴。
治療
- 第一選択:生活習慣改善(減量)、排卵誘発薬(クロミフェンなど)
- 補助療法:インスリン抵抗性改善薬(メトホルミン)、ホルモン療法(低用量ピル)、不妊治療
- 注意点:肥満・糖尿病リスク管理、子宮内膜増殖症の予防
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 視床下部性無月経 | 体重減少やストレス歴 | LH/FSHともに低値、卵巣縮小 |
| 卵巣性無月経 | 卵巣腫瘍や早発卵巣不全 | FSH高値、エストロゲン低値 |
補足事項
PCOS患者は長期的に2型糖尿病や脂質異常症、子宮体癌のリスクが高まる。思春期発症例や肥満例では早期介入が重要。ガイドラインは随時更新されている。