黄体機能不全
概要
黄体機能不全は、排卵後の黄体から分泌されるプロゲステロンが不足し、子宮内膜の成熟不全をきたす疾患である。主に月経異常や不妊症、流産の原因となる。診断や治療にはホルモン動態の把握が重要となる。
要点
- 排卵後の黄体ホルモン分泌不全が本態
- 月経異常や不妊・流産の原因となる
- ホルモン補充療法が治療の中心
病態・原因
排卵後に形成される黄体の機能低下や寿命短縮により、プロゲステロン分泌が十分に行われないことで発症する。原因としては加齢、ストレス、過度なダイエット、多嚢胞性卵巣症候群、下垂体や視床下部の障害などが挙げられる。
主症状・身体所見
月経周期が短縮する過短月経や、月経前の不正出血、または月経困難症がみられる。不妊症や習慣流産の一因となることも多い。身体所見としては特異的な所見は乏しい。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血中プロゲステロン測定 | 排卵後1週間で10ng/mL未満 | 排卵後7日目前後の測定が推奨される |
| 基礎体温 | 高温期が10日未満、または高温相の上昇が不十分 | 二相性だが高温期が短い |
| 子宮内膜組織診 | 分泌期内膜の発育遅延 | 月経前に行う/組織学的成熟度を判定 |
診断は臨床症状と基礎体温、血中プロゲステロン値、子宮内膜組織診の組み合わせで総合的に行う。超音波検査で黄体形成や内膜の厚さを評価することもある。
治療
- 第一選択:黄体ホルモン(プロゲステロン)補充療法
- 補助療法:排卵誘発剤の使用、生活習慣改善
- 注意点:原因疾患の検索と治療、過剰投与による副作用に注意
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 多囊胞性卵巣症候群 | 無排卵周期、卵巣多囊胞、男性化症状 | LH/FSH比上昇、超音波で多囊胞 |
| 視床下部性無月経 | 無月経、ストレス・体重減少の既往 | ゴナドトロピン低値 |
| 子宮内膜症 | 月経困難症、性交痛、慢性骨盤痛 | MRI/超音波で内膜症病変 |
補足事項
近年は高感度のホルモン測定や超音波計測の進歩により、より早期の診断が可能となっている。習慣流産例では他の内分泌異常との鑑別が重要である。